家庭教師ヒットマンREBORN!(ヴァリアー)

□×7 ロッターヴォ
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ロッターヴォ(8番め)

趣のあるこの城は、フォトスポットには事欠かない。

ベヴァンダのオーダーを取るというレヴィ・ア・タンの声かけで、守護者6人は遊戯室に集結した。
「じゃあ、ワインセラーにあるやつは使わないんだね」
「うむ、今回はきちんとそれ用に用意したいからな。ただ、外出がな…」
「ああ、オレもドルチェの材料買いに行きてーんだがな。プレツィオーゼパシんのもなんか味気ねーぜぇ」
レヴィは大きなルーレット台の脇でメモを取っている。「それ絶対落とすなよ」とベルフェゴールが釘をさした。
「僕はインターネットで注文するけどね」
ベルフェゴールとマーモンは、先ほどからソファを占拠してTVゲームの対戦をしている。
「むう、そういう手もあるな…だがやはり、自分の目で確かめてからでないと、オレは…」
「ねえ」
レヴィの傍らでスクアーロとポーカーに興じていたルッスーリアが語尾を上げる。
「私考えたんだけど、レヴィのベヴァンダって私のクチーナとの組み合わせも考慮したほうがいいと思うのよね」
「ぬ…そう言われれば…」
「ムムッ、それは一理あるよ。ワインひとつとっても肉料理なら赤、魚なら白だからね。生魚なら日本酒のほうがいい場合もあるし」
「あ、そっか。あんま考えてなかったけど、それって切り離せねーな」
「う゛お゛ぉい!!よく気付いたじゃねーかぁ!!」
皆に同意されたルッスーリアはカードを持ったまま嬉しそうに両手を組み合わせた。
「ね、そうでしょ!だから私、同盟を組んだらいいと思うの!」
「同盟?」
「そうよ!料理系の私とスクとレヴィ、あと演出系のベルちゃんとマモちゃんとモスカが手を結んで協力体制をつくったら、もっと素敵な企画ができるんじゃないかしら♪」
「えー、チビとロボと一緒かよ」
まあオカマとムッツリでもやだけど、とコントロール片手にベルフェゴール。かちちち、とボタンを連打している。
「ふん、僕だって厭だね、ベルと一緒なんて」
「オレの方が厭ですー」
「ほらほら、ケンカしない。スクアーロはそれでいい?」
「ん゛?ああ、いいぜぇ。オレと貴様とレヴィだな」
「むう…少々不本意だが、ボスのためなら致し方あるまい。同盟だ」
メンバーの指差し確認をしたふたりの指先がちょうど互いに向けられている。
「あら、こっちは円満に決定したわ!」
「じゃあもう残りはこっちで組むしかないじゃないか」
「マジ、ついてねーな」
不満げにベルフェゴールがマーモンの頭に腕をもたせかける。
「ふん、僕だって」
「モスカは?」
「異存はない」
短い返答があった。モスカは少し離れた場所で金属のパーツを片手に作業をしている。
「よかった、じゃあこれで決まりね!」
それでは同盟のコードネームを決めようということになり、イタリアの国旗に因んで料理班を「ローゾ」、演出班を「ヴェルデ」と呼び合うことにした。
「これってやっぱ料理と演出で勝負ってことになんのか?」
勝負ものの好きなスクアーロが言った。
「そうねえ。対抗意識があった方が張り合いはあるけどね」
「僕は金にならないバトルはしないよ」
「それは何か、逃げるのかマーモン」
「ム、そういう意味では…君たち相手に僕が負けると思うのかい?」
「なんだマーモン、やる気満々じゃねーか」
「そーだね、じゃあ一応オレたちはライバルってことで」
「スク」
「あ゛ん?」
「激写☆」
振り向いたところを、デジタルカメラのレンズがとらえた。
「あら、ナイスショット」
「う゛お゛ぉい!!勝手に撮ってんじゃねーぞぉ!!」
「あら、いいじゃな〜い!同盟結成記念に1枚♪」
ルッスーリアが構えて笑うシャイニーピンクのカメラは、彼がジャケットのポケットにいつも携行しているものだ。
「なら3人で映んねーと意味ねーだろうがっ!!貸せぇ!!」
「お、オレにもみして」
ソファの背を乗り越えてベルフェゴールが手を出してきた。
「あー、ホントだ。よく撮れてんじゃん」
「う゛お゛い、ベルぅ!オレにも寄越せ」
カメラを追いかけてベルフェゴールの隣に腰を下ろしたスクアーロだったが、
「スクアーロ」
座り直したベルフェゴールが金髪の頭をこちらに寄せ、自分たちにレンズを向けるとついキメ顔などしたりしてしまうのだった。
「ん、かわいーかわいー」
「ベルちゃ〜ん!私も私も〜☆ほら、モスカも」
ルッスーリアはモスカに駆け寄り、作業中だった腕を取ってポーズを決める。ベルフェゴールは少しだけ顔をこちらに向けたモスカまで、ファインダーに入れてやった。
「ほら、モスカも撮れたぜ。アンタふだん撮り専門だもんな」
「ありがと、ベルちゃん!そろそろまたプリントしなくちゃね」
遊戯室にあるアルバム群は、ルッスーリアが管理している。この8年で撮りためられたものなので、けっこうな量だ。
アルバムはまめなルッスーリアの手によるものらしく、年度別や人物別にまとめられ、「XXXX年ヴァリアー式ナターレ」や「マーモン〜四季折々の取り立て〜」など、内容に応じたタイトルがつけられていた。
「なんかまた増えたな」
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