本
□視線と不安
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『ねぇ、あの人…』
『本物…?』
『六だよね…』
ヒソヒソ
ヒソヒソ。
いつもの着流しじゃなくとも
気付く人は居る。
アタシは別に気にしないけど
「…………」
この人は気になるみたいだ。
少し眉間に皺を寄せ
手早く弦を選ぶ。
「行こう」
「もう良いの?」
「うん」
不機嫌。
「どこか寄る?」
「ううん。アンタは?」
「俺はもう良い」
超不機嫌。
「帰ろう」
「ん」
どうしたら
機嫌直してくれるかな
なんて考えながら
アタシ達は会計を済ませた。
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