恋姫の物語

□第二話 巡り会い
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真・恋姫†無双 暁の飛鳥 第二話 巡り会い










俺はただの観客だ。

地上を舞台に人間が起こす騒ぎを、ポップコーンとコーラ片手に笑っているだけ。


観客は舞台上で起こる喜劇に口を挟まない。


ただ、事の成り行きを見守って、すべてが終わった後に文句を言うだけの存在。


神様ってのはそう言う存在さ。









気がつくと、そこは、ただひたすらに真っ白い空間だった。




窓も、ドアも、家具も、調度品も無く、唯々果てしなく広がる純白の部屋。





飛鳥「俺は、何故生きている?」





確かに三毒の銃で撃たれて、俺は神足家の本堂で死に絶えたはずだった。






飛鳥「澪や香奈達とあえないと言うことは、ここは地獄か?想像以上に小綺麗なもんだな」



『そう、思うか?』




突如、部屋の中にスピーカーを通して聞こえるようなくぐもった声が響いた。





飛鳥「誰だ!?」




思わず、その声に振り向くと、そこには今際の際に見た、本堂のお不動様が鎮座していた。




飛鳥「お、お不動様?」




『おう、少年。今もまたそう言ってくれるか。しかし、あの可愛かった少年が随分とでっかくなったもんだ』





飛鳥「――――!?、ということは、あんたは神足家の本堂にいたお不動様なんだな?」




『んー、まぁ、神様なんてものはどれをとっても本質は同じなんだが、そうとってもらってもかまわないよ」


神様というにはあまりにも軽いのりにちょっとばかり、小さい頃に憧れたお不動様のイメージが崩れる。




飛鳥「そうか……、ところでここは何処だ?何で俺は生きている?」




『えぇー!?俺これでも神様だよ?普通タメ口聞くぅ?仮にも神足の末裔だろ、お前』




飛鳥「いや、なんか認めたくないというか、あんたがそんなノリなら、俺もこれでいいかなって」




そう、神足の一族が祀っていたお不動様が、実はこんなミーハーな性格だと知ったら、あのくそ真面目だった親父なら失神したことだろう。




『まぁ、いいけどさぁ。ここは、俺のプライベートスペースだ。別名、次元の狭間?天国へ続く待合室でも可。
そして、お前がまだ生きてるのは、俺がストップかけて連れてきたからだ』





飛鳥「何故、そんなことをする?」




『まぁ、ぶっちゃけてしまえば、ちょっとお使いしてほしいのよ』



飛鳥「お使い?なんで俺がそんなことを」




『なんでってお前は神足だろう?俺の言うことを聞いてくれる一族だろうがよ』




飛鳥「なっ!!巫山戯るな!!俺たちが皆殺しあったときも、俺の家族が死んだときも、何一つしてくれなかった神が、今更俺に使いにいけというのか!!」


まったくもって巫山戯ている。


本当に神足が、神の使いとして世直しをするのが役目だとしたら、神の加護篤き一族なら、なぜ神は俺から家族を奪っていった。






『ああ?てめぇ、甘えんじゃねえぞ?家族を守れなかった?

そんなのてめぇの力のなさが原因じゃねえか。

お前以外にも理不尽な運命にさらされている人間ってのは世の中腐るほどいんだよ。

それにな、神ってのは基本的に世の中に介入できないんだ。

出来てせいぜいお告げをして、人を動かすくらいのものよ。

神足の一族だって、血が薄れたとはいえ、神の眷属だろうが。

それが、一般人に襲撃されて全滅だなんてのはな、滅ぶしかなかったって事よ。

力のない神が、滅ぶ運命にあるようにな』







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