湾叶学園

□衝撃という名のカミングアウト
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《・・・は・・・今・・・で・・》

「う・・・ぅん・・・?」


なんか声がする

・・・あれ?何でベッドが揺れてんだ?
あれ?俺いつ寝たんだっけ?
あれ?何があったんだっけ?

疑問ばかりで頭がふらふらしてくる。あぁダメだ。しっかりしないと・・・

えっと、バカ昴と話して、帰宅途中に声をかけられて、んで後ろから・・・って

「ああああああぁぁぁぁーーーっ!!!」


運転している女の人がびくっと肩を震わした。相当大きい声をだしてしまった様だ

ざまぁみろ。俺を騙したからだ。なんて思いながら自分も喉が痛い
こんな大声出したのどれくらいぶりだろう・・・なんてぼんやり考えていると


「目ぇ覚ましたか」

助手席に乗っている人が振り向いた
短髪でサングラスかけたこれまた黒尽くめの兄ちゃん
何か恐っ!!


「あ・・・あの。これは一体・・・」

怖かったけど聞いてみたよ。俺って勇敢!!


「理由はあの方に聞いてください」

なんか敢えて言ってないけどこれ完璧誘拐だよねぇ・・・
てか


「あの方・・・?」

「我々のし・・・ボスです」

我々のし・・・何て言おうとしたんだろう
我々の・・・職人?なんちってw

「大人しくしていてくださいね?」

「はい」

多少涙目になりながらも頷いた

だってこれ逆らったらいけない感じっしょ?俺は一般ピーポーなんですぅ
それに目が恐いし
いや、グラサンかけてっからわかんねぇんだけどさテヘッ

そんなことを考えてたら短髪兄ちゃんの手が伸びて来たぁ!


ギャーーーーーーーッ!!!


叫んだつもりだったのに声に出てなかった様だ
兄ちゃんの手がそのまま俺の頭を叩く・・・事は無く、

「飲むかい?」

俺の顔の前に大好物の桃ジュースを運んできただけだった
・・・・・・

「貰って良いの?」

聞くと、頷かれる

「ありがと」

多少驚きながらも返事をする
あ・・・なんか今兄ちゃんがすげぇ嬉しそうに笑った。

何か意外と良い人っぽいなぁ・・・なんて思いながらじっと見てると兄ちゃんの顔が赤くなった

車の暖房が効き過ぎてるのかなぁ。黒スーツ暑そうだしなぁ


そんな誘拐中とは思えない空気の中、車はどんどん進んでいった。








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