湾叶学園

□ぷろろーぐ
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「奏ぇ〜!!」

俺を呼ぶ声に首だけ振り向くと、サッカーのユニフォームを着たにこやかスマイルの大谷昴が抱きついてきた


「離せよ」

「奏はもう帰るのぉ〜?」


聞けよコラ

相変わらず人の話を聞かないこいつに僅かながらイラッとする。
てか男が《のぉ〜?》とか言うな気持ち悪い。

・・・あぁほら男同士がくっついてるから周りがこっちを見てるじゃないか

ただでさえ紫頭のお前は目立ってるんだ
俺を巻き込んで目立たせるんじゃない
目立つのは嫌なんだよ

だから離せという目で昴をみたら、顔が赤くなった
てか・・・

「そんなに暑いんだったら離れろよ」

そんな顔が赤くなるほど暑いんだったらさ。
そう言うと昴は困った様に笑いながら

「そうする」

と言って手を離した

まだ顔は赤いままだ
そんなにサッカーの練習がきついのか?
と、そんな事を考えながら昴を見てたら、更に顔が赤くなった
え、後から赤みが増すってこれ重症じゃね?とか考えるが正直どうでも良いかと思い、考えるのを止める

「で、何か用?」

「いや別に?」

こいつ・・・
何か用事があるのかと思ったら即答しやがって・・・
しかもキョトンとしてやがる
この金持ち坊ちゃんめが・・・

「ちょ、奏?顔が恐いよ?せっかくの可愛い顔が台なし〜・・・ってごめんっ!謝るからそんな怒らないでっ!!」

昴が急に謝りだしたけど・・・
もういぃや帰ろ
フイッと向きを変えて歩きだす


「かーなーでーっ!!!」

後ろからまたも昴の声がする
しょうがないから振り向く
・・・ここで振り向く俺ってすげイィ奴だと思う


「また来週なぁ〜っ!!」

笑顔でぶんぶん手を振る昴
え、何。これって俺も振らないといけないカンジ?
なんでこんな事になってるんだめんどいなぁ・・・

それでも俺は優しい奴だから軽く手を振り返してやる
やっぱ俺ってイィ奴じゃん

「襲われんなよ〜っ!!」
「何で俺が襲われるんだよっ!!」

金持ちのお前じゃあるまいし

ツッコミをいれたら笑いながらグラウンドの方へ逃げていった

あぁ、最悪だ
皆の注目がこっちに集まっているじゃないか

その視線から逃げる為、俺は家に向かって歩き出した


来週、会えない事など知らずに・・・







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