戦国
□Welcome to…
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奈落を倒すため、いつも通りに旅を続けていたある日のこと…
「そろそろ日も暮れてきましたし、今夜はあの村で宿を探しましょうか」
「「「賛成ー!!」」」
一行の一番先頭で歩を進めていた法師、弥勒の問いにかごめ、珊瑚、七宝は賛同する。
その様子に小さく舌打ちしながら後に続くは人間と妖怪の両の血を引く半妖、犬夜叉。
暫く村を歩いていると、
「御主ら!旅の者たちであろう?ぜひ我が宿に泊まって下さらぬか?
お代は取らぬ故…」
と一人の老爺が弥勒に話しかけてくる。
「おお、ありがたい!!文無しの旅ですのでぜひ…」
宿に着き、部屋に案内してもらいくつろぎながらも、かごめは先ほどから気にしていることを珊瑚に話しかける。
「ねえ、珊瑚ちゃん。何かおかしくない?お代なしの宿屋、なんて…」
「うん、私も気になっていたんだ。…もしかしたら何か裏があるかも…」
「妖怪でも出るんじゃろか?」
「けっ、んなもん出てきたらぶった斬るだけだろ?」
「まぁ大した妖気も感じられませんし狐裡妖怪の類いでしょう」
各々が話し合っていると先ほどの老爺、つまり宿屋の主が部屋へと慌ただしく入ってくる。
「皆様、少しご相談というか頼み事がありまして…」
かごめと珊瑚は顔を見合わせながらその後に続く言葉を待つ。
「この宿は私と妻で切り盛りしておりますが、先日妻が腰を痛めてしまいまして、洗濯やら膳の用意やら…滞ってしまっておるのです。
しかしこのままでは私達の生活が成り立ちませぬ。是非とも手伝っていただきたく…」
「わかったわ!みんな、手伝いましょう!!」
打てば響くように、かごめはすっくと立ち上がる。
「そうだね。困ってる人は放っておけないよ!」
珊瑚もかごめに続き、弥勒も七宝もそれに異存はないようだ。
残された緋衣の少年に既に選択肢はない。
「いいわよね、犬夜叉?」
「……勝手にしな!!」
何故か犬夜叉は部屋の戸に手をかけ、外に出ようとする。
すかさずかごめは衣を引っ張り、満面の笑みを浮かべながら
「犬夜叉も手伝ってくれるわよね?」
「誰がそんなこ…」
「や・る・わ・よ・ね?」
「お、おう…」