戦国
□Welcome to…
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かくして手伝いをすることになった一行は、かごめと珊瑚を中心として広い宿中を走る、走る…。
「よし!!みんなでこの広い廊下を雑巾がけしましょう!!
そして雑巾がけといえば…雑巾がけレースッ!!」
「「「「雑巾がけれえす??」」」」
かごめの提案に他の四人は首を傾げる。
「雑巾がけレースっていうのは、雑巾がけをして一番速く決めた周をかけた人が勝ちって遊びよ。今回は5周にしましょう」
かごめの説明に四人とも納得した様子。
「じゃあ行くわよ〜!よぉい…ドン!!!!」
かごめの掛け声と同時に駆け出す、かごめ、犬夜叉、珊瑚、弥勒、七宝。
「おらぁーーーーー!!!!!」
乗り気じゃなかったはずの犬夜叉は負けず嫌いな性格なせいか一番張り切り、一番を独走中。
「はぁはぁ…速いわね、犬夜叉!!」
早くも息の切れたかごめが隣で並んでかけている珊瑚と弥勒に話しかける。
「ふふふ…かごめさま、おまかせを!!」
「そうだよ、かごめちゃん!!」
何か策があるらしい珊瑚と弥勒。
「待つんじゃ、みんなぁ〜〜」
一人残される七宝はもう足元が怪しい。
いよいよ最終周だが、いまだ一番を走り続けている犬夜叉。
「なんでえ、あいつらてんで話にならねーじゃねえか!!」
その言葉を待っていたかのように、
「それはどうでしょうか、犬夜叉!!いきますよぉー……風穴ッッ!!」
弥勒が右手の封印の数珠を解き風穴を開く。
「うわああああぁぁぁ!!弥勒、何してんだ!!!」
弥勒の風穴の方へと犬夜叉が吹き飛ばされた。その間に弥勒が風穴を閉じ犬夜叉の横を駆けていく。
「では犬夜叉、お先に」
「飛来骨っ!!!」ギュルルルル…
「おわッッ!!!!」
弥勒が通ったと思ったら、犬夜叉の頭のすぐ上を飛来骨が掠めていく。そう、珊瑚が飛来骨を投げたのだ。
「何考えてやがる、珊瑚ッ!!!」
「じゃあね、犬夜叉!」
犬夜叉が腰を抜かしている間に珊瑚が先をゆく。
「あっ!待ちやがれ〜!!」
(あとおれの後ろにはかごめと七宝か…。あの二人には勝てるだろう)と考えている犬夜叉の目の端にかごめが映る。
「待ちなさい、犬夜叉っ!!」
抜かされる、と思い体勢を立て直し駆け出す犬夜叉と必死に駆けるかごめが並ぶ。
「へっ、おめぇには負けねえぞ!!」
「そっちこそ覚悟しときなさいよ!!」
売り言葉に買い言葉。言い返そうと犬夜叉がかごめに振り返ったとき…
「…ッ///」
かごめは気付かないが、首回りの広いセーラー服で雑巾がけをしているため、かごめの白い胸元が犬夜叉からは見えてしまっていた。
「スキあり!!」
「うわっっ!!」
かごめは犬夜叉が油断した瞬間に脚を引っかけて犬夜叉の脚を払った。
「先に行くわよ〜!!」
「………。」
かごめが去っていく際にもスカートの中身がちらちらと見えてしまう。
犬夜叉は、弥勒が後にいなくて良かったと思いつつも嬉しいような悲しいような心情で赤い顔で座り込んでいた。
というわけで結局、弥勒、珊瑚、かごめ、犬夜叉、とゴールし七宝に到っては途中で目を回していた。
その後は洗い物はビリだった犬夜叉が皿や湯呑みをいくつか割りながらも何とかし終え、あとは宿屋に来る客人を迎えるだけであった。
「お疲れさま、犬夜叉」
かごめは休憩に、と茶が入った湯呑みを犬夜叉に手渡す。
「下手な雑魚妖怪の退治よりよっぽど疲れるぜ…」
罰ゲームに、とほとんどの仕事をこなした犬夜叉はもうくたくただった。
「いい?犬夜叉。お客さま来たら"ようこそ"って言うのよ?」
「そんくらいガキじゃねえんだからやってやらあ!!」
「犬夜叉は性格はおらより子供じゃぞ」
ゴツンッ!!!…七宝の頭に拳骨が落ちる。
「うわぁん!!犬夜叉が殴ったぁ〜」
「犬夜叉…大人げないよ?」
かごめは七宝の頭を撫で、珊瑚が犬夜叉を咎める。
そこへ表に出ていた弥勒の鶴の一言が聞こえる。
「みなさん、お客さまがいらっしゃいましたよー!!」
「ほら犬夜叉、しゃんとして!なるべく笑顔でね」
「けっ!!」
かごめは子供を宥めるように犬夜叉に言ったとき、玄関の戸が開く。
「「「「「ようこそ、桜花爛漫へ」」」」」
END.
灰桜の処女作はいかがでしたでしょうか?最後の一言を言わせたかったのです。
雑巾がけレースはいろいろ危険ですよね(^_^;)
感想お待ちしております。