チェックメイト

□第七章
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「これで安心、リゼちゃんのハンター試験攻略講座!」
「わーぱちぱち」
「反応が簡単過ぎます」
「楽しくなさそう」
「簡単ではなくなりましたが、ただの悪口です! 酷すぎますっ」
「僕に酷い以外の期待をするほうが間違ってる」
「そんなドヤ顔で言われましても。大体酷い反応以外もできますよね!」


時間制限付きの扉、つまり時間にならないと開かない扉の前でわたしとヒソカさんは佇んでいた。芦になりそうだったので、取り敢えず言ってみたのだが、いかんせんノリが今一だった。解せぬ。


「で、なんで態々攻略法?」
「いや、語呂がよかったので攻略法と言ったまでで実際にはこの後の試験の考察ですよお。これまでの試験、といってもこの試験を合わせて三試験ですけど、三試験とも攻略法っぽい攻略法はなかったですし」
「走って、騙されないことと、料理と、階段を下ること、だからね」
「こうして振り返ってみると攻略法もなにもありませんねえ」
「寧ろ試験かどうかも怪しいね」
「解せません。もっとこう、わたしの時は派手でしたよお」
「派手?」
「飛行船を一つ大破させるぐらいには」
「それは派手だね」


派手過ぎて大破したあとの処理がお金的に大変だったと聞き及んでいたんですけどね、そのせいで資金的に余裕がなくなったんでしょうか。

「取り敢えず、今年の試験は緩いですよねえ」
「去年はもっと、殺伐としていた」
「二年前はもっと殺伐としてましたよお」
「平和主義の試験官が揃ってでもいるのかな?」
「戦争主義の試験官がいないだけですよお、好戦的な人達なのはかわらないぽいですから」

食べ物の試験といいピリピリはしているっぽいですからねえ。鈍感ではないらしいというのは分かる。

「試験者同士のバトルマッチがまだないですしね」
「この先出てくるとは思うよ、常套句だからね、試験者同士が潰し合うっていうのは」
「だとしたら、次ぐらいからですかね。まあ何にしろ、殺すな、とか身に付けているものを奪えとか直接的な死亡表現は避けるでしょうね」
「安全パイを取るね」
「志望者が死亡する試験っていうのは聞こえが悪いですからねえ、どれだけ合格特典が高くても、子供達の夢は買えませんよお」
「ハンターって子供がなりたがるの?」
「今年は子供の出場が多いじゃないですか、わたしもまだ正確には子供ですし、なりたがる子もいますよお」
「ふうん」

とはいえ、安全ではない職業ですし子供のときからなりたがる人間なんているのやら。
そっと目を閉じて息を吐くと、そういえばとヒソカさんが声を上げた。

「ここはなんなんだろうね」
「トリックタワーですよね?」
「ああ、トリックタワーだね、でもここは元々なんの施設なのかな?」
「元々ですか」

そういえばと試験官さんとの話を思い出す。あの口振りから予想するに、看守さんだったからここは牢獄ということになるのだろうか。長細い塔というイメージしかないこの場所が犯罪者達の収容所。

「さあ、なんですかねえ」

とはいえ、確証のえられないことは迂闊には喋れない。囚人さんも見掛けないし、ここが監獄かというのも怪しいものだ。

「君にきいた僕がバカだった」
「ヒソカさんの言い方がナチュラルにわたしを傷付けてきます。どうしたらいいんでしょうか」
「鉄の心を持てば?」
「サイボーグになれと!?」


機械化しろと!





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