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□だから駆られる
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銀土
―――――SS
【なおも駆られて 番外】
なぜか、
土方と銀時と近藤とで呑み交わすことになった。
飲み屋に入りいつもより酒を飲むスピードが早かった銀時は、早々と潰れ今もテーブルと仲良くしている。
土方はなんだかこの状況がくすぐったくて、幸せって案外こういうものかもなんてらしくない事を考えていた。
「近藤さんに会ってなかったら？」
「そ。トシはなにやってた？」
「そんなの想像できねぇよ。」
想像したくもない問いかけに、土方は酒を煽る。
「でもきっと生きる希望とか、目的とか、なぁんにも持ってなかったと思うぜ。」
「いやいや案外所帯持って幸せに暮らしてたり。」
「俺が？」
土方は隣で眠る銀髪をチラリと 盗み見る。
「ありえねぇよ。」
「そうかなぁ。トシなら引く手あまただろ。」
「やめてくれ、近藤さんと会えねぇ人生なんて死んでもごめんだ。」
「じゃあ次もちゃんと見つけてやらねぇとなぁ。」
「なんだよ次って。」
仕方ねぇなぁと笑う近藤に土方は不思議そうな顔をむけた。
「次だよ次。見つけてやるから安心しろ。」
「よくわからねぇけど……、近藤さんなら見つけてくれそうだな。」
「そしたらまた一緒に真選組やろうなぁ。」
しょせんは酔っ払いの会話だ。
細かい事を気にしても仕方がない。
土方はただ言われた言葉の意味だけを、素直に喜んだ。
「あぁ、必ずだ。」
それからすぐ、近藤も気持ちの良い寝息をたてて眠ってしまった。
「…………銀時、妬くんじゃねぇぞ。」
土方が笑ってポツリと呟くと、うつ伏せの銀色がモゾリと動いて手招きしてくる。
なんだかそれが可愛く思えて素直に側まで近づいた。
すると不意に上がった顔に唇を掠め取られる。
「今度はゴリより先に、俺がお前を見つけてやるよ。」
いきなり過ぎて怒るタイミングもなかった土方は、銀時の言葉を鼻で笑った。
「バーカ、お前にゃ無理だよ。見つけてもらえる気がしねぇ。」
「はぁ？なんですかそれ、銀さんの愛の大きさを馬鹿にしてるんですか。」
「いいんだよ、次もお前は俺が見つけてやるからよ。」
「いやいや、その今回も俺が見つけました的な言い方やめてくんない？」
「だってそうだろうが。」
「違います、俺が先に見つけましたぁ。」
「てめぇ沸いてんじゃねぇよ。どう考えても俺だろうが！」
「俺だから、ちなみに前も俺だしその前の前も俺が先に見つけてますから。」
「残念だったな。俺は一番始めの一番初めてを見つけてやってるから。」
「ふーん、でも回数的には俺のが上だし？」
「回数じゃねぇ、要は質だ。」
それからしばらく互いに「俺が俺が。」と争いを繰り返し、それが不毛だということに気づいた時には声を上げて笑った。
「あ！見つかってやってもいいけど、近藤さんより先に見つけてくれるなよ。」
(くそっ、このゴリラめ。)
銀時は穏やかに眠る近藤のアホ面を、苦々しげに睨み付けた。
end.091126