short 2

□距離0ミリ
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掃除よし。

臭いよし。

神楽よし(追い出した)。

定春よし(上に同じく)。

俺…………






よし!!



「きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

坂田銀時2●歳は、年甲斐もなく拳をふりあげて歓喜に震えて絶叫した。
誰もいない万事屋で、その声のでかさに反応した小物やらなんやらがビリビリと震える。



きたよきたよ、き ま し た よぉぉぉぉ!!!

俺がこの日を、どんなに…どんなに待っていたか!

例えるなら、昭和初期で初めて我が家にテレビがくる日のような?

小学校の給食でフルーツポンチが出る日のような?


いやいやいやいや


ぬるいぬるい!!!



待ちに待ったこの17日間…。



何を隠そう


そう、今日はっ!!!!!




「愛しいあの子の非番の日〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」


「あんたさっきから煩いんだよぉ!!少しは静かにできないのかいっ?!!」

再度高らかに叫ぶ銀時は、あたりまえだがいきなり現れた大家のお登勢に怒られた。














ピン、、、ポーン




午前11時。

少し遠慮がちにチャイムがなる。

「はい!はーいはい!!」

玄関前でそろそろくるはずだとふんで待っていた銀時は、すぐにその玄関を開けた。

ガチャ

「いらぁ〜っしゃい。」

「うお。早ぇな。」

扉を開ければそこには思い描いていた人物……。
銀時が待ちに待ちわびていた土方十四郎の姿。
その体はちゃんといつもの隊服を脱いで、黒に近い深緑の着流しを纏っている。その姿に銀時はほくそ笑む。

土方はチャイムを鳴らしてから扉があくまでのスパンの早さに、いささか驚いた顔をしていた。

「久しぶり、待ってたよ。」

「なんのつもりだ。」

「チュ〜。」

銀時は愛しさのあまりその唇に吸い寄せられると、土方の手に下から見事に頬を掴まれた。

「玄関先でなにしようとしてんだよ!」

「玄関先じゃなけりゃいいんだ。」

言うが早いか、銀時は顔を掴んでる手をとって土方を中へと引き入れた。

「え、おわっ!」

ガチャン

バランスを崩した土方が銀時に倒れ込むように敷居をまたぐと、銀時はすぐに玄関の扉をしめた。
晩秋の寒空の下歩いてきた土方の体がヒヤリと冷たい。
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