short 2

□転
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『近藤が殺された。』



そう言って高杉に一枚のDVDを見せられた。





深い、深い黒いものが身体の中にウゾウゾと生まれてくる。



どういうことだ


なんでこんな事になってるんだ。


わからねぇ、


頭が働かねぇよ、わからねぇよ。


「………………。」

必死に頭を動かすと、あることに思い当たった。


そういえば


銀時は桂と関係があるようだった。
初めて会った時も、桂といて……爆破テロ、が………。

………そういうことなのか?
はなからそのつもりで俺に近づいたのか?
恐ろしく卓越した剣技は、あの強さは、攘夷戦争で培ったもので………。


今もお前は攘夷志士だったのか?

「こんど…さん……。」

近藤さん、近藤さん。


「近藤さんっ―――。」

駄目だ、何も考えられない。
あんたを失ったら俺はどうすればいい。
何を想って生きていけばいい。
何も見えねぇよ、あんたがいなくなったら何も見えねぇよ。

「いや、だ…、あんたを無くすのは……嫌だっ――。」

俺のせいだ。

俺がノコノコと捕まっちまったから。

俺が……!

「俺のせいだ。」

思考が…止まる。
ただ明確に脳に刻まれているのは、





坂田銀時が近藤勲を刺したというその事実。




身体に憎しみが染みてゆく。
沸き起こる憎しみが大きすぎて自分がどこにいるのかわからない。


『俺はそんな男知らねぇ。』


そう、か。
高杉は銀時を知らないわけだから、高杉が画策したわけじゃねぇんだ……。
なら、やっぱりお前が。

「お前、が……。」

網膜に映る映像が離れない。

次から次へと沸き上がる激情。
ダメだ。
お前を信じてるのに、信じたいのに、疑心が絶望がすべてを凌駕してゆく。
………俺を利用したのか。
お前は攘夷浪士で、ずっとこの期を伺っていたのか?



『裏切られたんだよ。』




感情が俺の物差しをパリンパリンと壊してゆく。

お前が好きだ。
こんなに好きでも止められないんだ。






―――――激情が、止められない。










【君ヲ想フ・転】







地獄の底へ堕ちてでも、



必ずこの手で報復してやる。






「さかた、ぎんとき。」







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