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いー姉から急に電話が掛かってきた。何の用か分からないけれど、とりあえず出ることにする。
二人ともだいぶ打ち解けたようなので、大丈夫やろうと思い席を立つ。
もしもし、と電話に出る。


「今日オオセちゃんと友達でお泊り会なんやろー?どう?どう?」


相変わらずいー姉は元気やなあ、なんて思いながら、別に何ともないよ?と返事をする。
実際に、和やかな雰囲気で話は盛り上がっていた。おー姉が何で急にアヤと会いたいと言ったのかはよく分からないけれど…。


「えー、そうなん?絶対オオセちゃんのことやから何かあると思ったんやけどなあー。
ちょっと残念やなあー。いいや、それはまたオオセちゃんから詳しく聞ぃとく〜!」


いー姉の口振りはまるで何かが起こることを期待しているようだった。
というか、何か知っているようだったけれど、二人が待っているので触れないことにした。
しかし、おー姉は止まらず、結局その後もしばらく近況報告を兼ねて談笑してしまった。
それじゃあまたね、とようやく電話を切ったのは、電話が掛かって来てから10分が過ぎようとしていた頃だった。

ごめんお待たせ、と部屋に戻ると、おー姉の稀に見る飛び切りの笑顔と、アヤはちょっと見たことのない良く分からない表情になっている。
ちょっと外した間に何があったのかよく分からないけれど、私を見てすぐにアヤの表情が明るくなったので、特に気にしないことにした。

姉さん、何て言ってた、とおー姉が聞いてきたので、とりあえずは近況報告と、おー姉にはまた電話するって言ってたよ、と伝える。
ありがとう、と返事をもらった時、やっぱりおー姉はニコニコしていて、何かいいことあったのやろうか、思った。


-


その後もしばらく会話を楽しく続けた。もうすでに日は変わってしまっている。
けれどはっきり言って、私はお酒をいつもより飲んで、もう無理です。
そんな私を見てか、おー姉がもうそろそろお開きにしましょう、と言ってくれて、正直ほっとした。
だけど、寝る場所を用意するのを忘れていたことを薄ぼんやり思い出す。
そのことを伝えると、おー姉が言った。


「布団をベッドから床におろして、3人で川の字に寝ればいいじゃない!」


アヤの頭の上に“?”が浮かんだのが見えた気がする。
だけれど、おー姉はそうする気満々であり、すでに動き始めている。
というか、おー姉も見かけによらず今回は酔っているみたいだ。

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