拍手夢置き場
□山梔子
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〈 山梔子 〉
穏やかで優しい風が窓から部屋に入ってくる。
その心地好さに部屋から出て廊下に出ると太陽を見ながら微笑む。
「いい天気...」
ゆっくりと廊下に腰を下ろすと耳をすませる。
届くのは民達の明るく幸せそうな声。
その声を聞きながらまったりしていると、愛しい人の声が響く。
「何してんだ?honey」
顔をあげれば着流し姿の政宗がいた。
「日向ぼっこ。気持ちいいですよ?」
「日向ぼっこ?」
「いい天気ですし」
政宗はニヤリと口角をあげると勢いよく隣に座る。
「俺も日向ぼっこするかな」
そう言うとおもむろに横になり、頭を彼女の太ももの上に乗せる。
「ちょっ...!!」
急な事に頬を染める彼女に、政宗は笑いながら口を開く。
「いいだろ?夫婦なんだからよ」
そう言われては何も言えず仕方なく膝枕を提供する。
細い指が政宗の髪を優しく鋤けば、気持ち良さそうに目を細める。
穏やかな空気が流れる中、政宗が隻眼で彼女を見つめる。
「幸せか?」
まるで木漏れ日の様に優しく微笑む。
「とても幸せです」
その答えに満足そうに政宗の隻眼が優しく笑む。
「もっと幸せにしてやる」
「もっと?」
「ああ、子供を沢山産んで賑やかな家族にならなくちゃな」
悪戯めいた発言に彼女の顔がみるみる内に真っ赤になる。
「政宗さん!!」
「俺はお前以外妻を持つ気はないからな。伊達の世継ぎ、沢山産んでもらうぜ」
「...善処します」
「ああ、そうしてくれ」
幸せそうな2人を穏やかな日の光が照らしていた。
山梔子;花言葉は私は幸せ。
異世界の家族に伝えたい。私は今、幸せだと...。