お題置き場

□可愛らしく怖い 5題
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『一度海に沈めば良いと思うなぁ』







自分専用の小型船を自在に操縦し、ついたのはかの有名なルーキー、ユースタス・キッドの海賊船。


「よっと」


腰につけた縄を上手に操り、船の欄干に絡ませると意図も容易く登る。


登った先にいたお目当ての人を見つけて姫は笑顔で告げる。


「ユースタス・キッドさん、お届け物です」


伝票を広げながら荷物を渡そうとすると、キッドは口角を上げながら近付く。


「姫、やっと俺のものになりに来たか」


「やだなー、耳腐りました?ここに受領印お願いします」


「照れなくていいんだぜ?」


そう言いながら、姫の肩を抱こうとした瞬間、ガチャっという音と共に銃口が額に向けられる。


「受領印、ちゃっちゃっと押してください」


「甘いな...リペル!」


その声と共にあらゆる金属がひかれるようにキッドの右手に集まる。

勿論、姫の銃もだ。


「さあ、どうする?」


すると華の様な顔で笑みを浮かべる。


「沈んでしまえ」


キッドの足許を蹴りあげ、バランスを崩したキッドを海に落とす。


「お頭!」


慌ててキッドを救いにいくクルーをしり目に、伝票をキラーにむける。

「もうキラーさんでいいです。受領印下さい」


「いつもすまないな」


「いえ、馴れてますから」


受領印を貰うと、確かにと言って荷物を渡す。



「世界のどこでもお届けします、グランドライン姫宅配。また、ご贔屓に」


そう言って帰ろうとすると丁度キッドが引き上げられていた。


「姫...」


海水を吐きながら名を呼ぶキッドに姫は笑顔ながら、冷たい瞳で呟いた。










『一度海に沈めば良いと思うなぁ』


沈んでその金属と共に



錆び付いてしまえ




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