book1

□好き・・・かも・・・。
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「なぁ、お前ってなんでいっつも無表情なんだよ?」

「はい?」

また堕王子が変なこと聞いてきた。

「堕王子じゃねーつってんだろ!」

ドスっ!

ベルは眼にも止まらぬナイフさばきでフラン目掛けてなげつけた。正確には、フランのカエルに。だが。

「毎度飽きないですねー」

フランは呆れたように紅茶を飲みながら本に眼を向ける。

「って、王子の言ってること無視かよ!?」

「はいー。話すのも・・・『めんどい』んでー」

フランは人を小馬鹿にしたようにいってきた。

「・・・ありえねー、暇だから聞いてやったのに」

ベルは暇つぶしと言わんばかりにフランの背中やらカエルやらにナイフを投げてくる。

(・・・この人は・・・、かまってほしいならそう言えばいいのに・・・)

フランは本日何回目か知れないため息をつき、本を閉じた。

「センパーイ、かまってほしいなら素直にそういってくださーい」

「だれがいつどこでカエルにかまってほしいなんて言った?」

「今まさに現在進行形で『かまってほしい』っていいましたよねー」

フランはベルの髪を撫でながらいった。

「べっつに、違うし!ただ、フランのことなにも知らないなーってちょっと思ってなんとなく言ってみただけだし!」

そういってなにかふてくされたのか、勝手にフランのベットにもぐりこむ。

いつもの『プリンス・ザ・リッパー』の面影は、粉々になるほど崩壊されている。

(・・・なんなんでしょうかー?この小動物。可愛くていじめたくなります〜。いやー、なんかもっとこう・・・違う感じもしますが・・・)

もっと的確な言葉はないかとジーと、こちらに視線を向けていたのがベルにはいら立ったのか、「なんだよ!?」と、癇癪を起こしだした。

「いやー、なんでもありませんよー」

フランは少し焦ったように言った。

(少しだけ・・・好き・・・かも・・・。しれない)

フランはベルを見ながら思った。

「あ、そのナイフちゃんと磨いてそろえて返せよ」

「ないにってんですかー?そんなの御免蒙りますー」

新しく芽生えた?気持ちに少し戸惑いながらも。ふわふわした気分に満たされていた。

顔にはだしませんがねー

「なんかいいことでもあったのかよ?」

ベルはフランのかすかに変わった雰囲気に気付いた。

「ほんとに、極々かなり稀にですが、天才っておもいますよー」

「当たり前。だって俺「王子だもん?ですかー」

自分の言おうとしていたことをフランに言われてベルは不機嫌になる。そしてナイフを投げる。

(まったく・・・堕王子のなんでどこらへんがいいんですかー?自分。)




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