短編

□バカテス受験応援!
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受験票を手に廊下を歩き、自分が行くべき教室を探す。


暫くすると、受験票に書かれた数字と一致する教室を見つけた。



典型的な引き戸を開けると、数人の生徒が既に着席していた。



担当教師に名前と受験番号を提示して、指定された席につく。



いつも自らが座っている座席とは似ても似つかない感覚。



鞄から国語の参考書を取り出し、一時限目に備える。



同時に筆箱を取り出し、シャープペンと鉛筆を数本、それと消しゴムを取り出して机の端に受験票と共に寄せる。



参考書を開くと、表紙とページの間から少し膨らんだ手紙が現れる。



不思議に思いつつ廊下に出て、封を開ける。



中からは、赤色をした大きめのレターカードと、『最強』と歪に縫われた手作り感溢れる御守り。



必勝や合格、ではなく『最強』と言う辺りから彼らの思いが感じられて、クス、と笑ってしまった。



御守りを制服の内ポケットに滑り込ませ、レターカードを開く。



『絶対、負けんなよ 雄二』


『最後まで諦めないでね! 明久』


『…最善を尽くせば大丈夫 康太』


『プレッシャーに打ち勝ちなさいよ! 美波』


『大丈夫ですよ!信じてます 瑞希』


『入学、待っておるぞ? 秀吉』


『…希望を忘れないで 翔子』


『人事を尽くして天命を待ちなさい! 優子』


『僕らのお姫様が、落ちるわけないよね? 利光』


『早く合格して、また遊ぼうね? 愛子』


『貴女なら、負けるはずありません 美穂』




みんなからのレターカード。

それぞれの思いが綴られた…希望の塊。



それまでの緊張が嘘のように解れ、リラックスしている。


レターカードを仕舞おうとして、もう一度メッセージを見直す。



そして、自分の思い人のメッセージを呟き、レターカードを胸に抱く。




合格すれば、あの人はきっと喜んでくれるだろう。




そう思うと、少し胸が暖かくなった。



ポケットに入れておいた携帯を取り出して、ぱちん、と開く。

新規メール画面を開き、本文を打つ。




『行ってきます!』




それだけ打って、皆に一斉送信。



電源を切り、携帯を閉じる。




迷いは無くなった。


絶対負ける気がしなかった。





さぁ、始めようか!




《Are you Ready?》
(数ヶ月後、)(自分は桜並木の下にいた)
(勿論)
(゙あの人゙と共に)

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