No. 1〜30
□No.4
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最近、なんだか時間が流れるのが早い。
私は授業中、今朝やったスリーポイントの感覚を思い出していたら、いつの間にか部活が始まる時間になっていた。
「とにかくいいか!!一週間後には陵南との練習試合が迫っている」
赤木先輩が部活始まりのミーティングで言った。
一週間後ねぇ。
確か日曜日は……、あっ!
部活が終わり、皆で体育館清掃中に私は赤木先輩の所へ駆け寄った。
「赤木先輩」
「掃除はどうした光月」
だって掃除めんどいんだもーん。
話したいことがあるのは事実だし。
「少しお話が……」
「なんだ」
どうしよう、彩ちゃんに全部素直に言いなさいって言われたけど……。
「……えっと、残って練習してもいいんですか?」
「なに?」
「バスケの練習、したいんですけど……」
あ〜ぁ、言いたいことと違うこと言っちゃった。
でもシュート練習したいのも本当だし。
「光月、バスケできるのか?」
「はい、一応」
赤木先輩の顔を見ると、驚いているようだった。
「最後に戸締まりさえしっかり確認すればかまわんが」
「本当ですか!」
「あぁ。残って練習している奴にはいつもそうしてもらっている」
なんだぁ。
居残り練習してもいいんだ。
「ありがとうございます!」
私はお辞儀して、掃除に戻った。
嬉しさで本当に言わなくては行けないことを、忘れてしまった。
「あ」
思い出した時は後の祭り。
仕方ないので安西先生が来たときに言おうと、私は逃げてしまった。
私は早くシュート練習がしたくて、パッパと掃除と片付けを終わらせた。
また、バスケをプレイすることに魅せられている。
それとは裏腹に、皆に本当の事を言えないことに、苛立ちも感じていた。