No. 1〜30

□No.16
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私が丁重に告白を断ると、桜木は崩れた。

「おい、大丈夫か?」

流石に私も、桜木の心配をした。



バタンッ

また、扉が開く音がした。

「花道!おめでとうっ」

……は?

扉から、リーゼント、金髪、デブ、ヒゲが屋上に出てきた。

今、おめでとうっていう状況じゃないんだけど。

「これで、何人目?」

リーゼントが囃(はや)し立てる。

「「「30人っ」」」

なに言ってんだ、こいつら。

「花道!記念すべきフラれ続けて30人!おめでとう!」

……マジで?

桜木、30人にフラれたの?

桜木には悪いが、私も笑いだしそうになった。

なおも新たに登場した四人は、桜木をからかっている。

流石にこれは、桜木が可哀想。

「おい、あんた達」

私は騒いでいる四人を呼び止めた。

「なんですか?」

リーゼントが笑顔で首をかしげた。

「フッた私が言うのもなんだけど、傷心している相手をからかうのは良くないんじゃないの?」

私がそう言うと、四人は、静かになった。

視線が痛い。

四人は私を見ている。

「なに?」

「本当に表情が無いんだな」

そう言ったのは金髪だった。

なんかムカツク。

「わりぃかよ、うわっ」

私が腹を立てたのと同時に、桜木が立ち上がった。

「……桜木?」

桜木の行動が意味不明で、ただ唖然と見ていることしか出来なかった。

桜木は、華麗に、四人のおでこに、頭突きを食らわせていった。



プシュー

頭突きをされた四人は、おでこから湯気が上がっていた。

「てめぇら、二度と笑うな」

桜木の身体がワナワナと怒りで震えていた。

……。

ごめん!我慢の限界!

「ぷっ」

「ぬっ」

「あははははははっ」

私は思わず吹き出して、しかも大笑いしてしまった。

「あんたら最高!超ウケル」

私は、久しぶりにお腹を抱えて笑った。

「ってか、30人にフラれるとかマジ、ギネス級だしっ」

そして笑いが止まらなかった。

「わ、笑った」

「光月零が笑ってる……」

「奇跡だ」

金髪とヒゲとデブがそれぞれに言った。

「笑えるじゃん」

リーゼントが額を押さえながらやれやれと笑う。

「か、可愛い」

「「「「もう、諦めろ」」」」

桜木に対しては皆でツッコミを入れていた。

やっぱ、面白いわ。

こいつら。
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