No. 1〜30

□No.20
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藤真さんのフリースローの後は、翔陽に勢いがついた。

藤真さんがゲームの支配力を持っているようだった。

それと、もう一つ感じたことがある。

「藤真さんって楽しそうにプレイするね」

「そうね」

彩ちゃんが相槌を打ってくれた。

「一緒にプレイしてみたいな」

「……零」

私の希望が夢が、皆のプレイを見ることによってどんどん膨らんでいく。

残り10分。

安西先生がタイムアウトを取った。





ベンチに戻る5人。

見るからに、ミッチーが一番疲れている。

「はい、どうぞ」

私は皆にタオルを渡す。

安西先生が5人の前に立った。

「さて、試合前に君たちに言ったことを覚えていますか?」

「!……もちろんです」

赤木先輩の目が変わった。

「「「「オレたちは強い!」」」」

「よろしい」

安西先生はそう言って椅子に座った。

凄いな、安西先生は。

たったそれだけで、プレイヤーを奮い立たせる。

私も皆の力になりたい。

「ミッチー」

私は黙ってポカリを飲んでいるミッチーの隣に座った。

「バテてんの?」

「! バテてねぇ!」

ミッチーがギラリて私を睨む。

でも私は笑った。

笑顔とは違う。

きっと私は何かを企むような顔で笑っている。

「……光月?」

ミッチーが不思議そうな顔で私を見ていた。

「全国、連れてってくれるんだろ?」

私はミッチーを信じる。

皆を信じる。

だから、頑張って!

「もちろん」

ミッチーがニヤリと笑った。

「始めます!」

審判の声でミッチーが立ち上がった。

「ふぅ」

ミッチーが深いため息をついて立ち上がった。

……。

「いってらっしゃい」

「おう」

ミッチー、やっぱり相当疲れている。

私はその事をかき消すために頭をふった。

「花道!」

花道が私の声に振り返る。

「リバウンド、超期待してる!」

「超!」

私の言葉をかわきりに、赤木先輩、ミッチー、流川、リョータが花道に声をかけていった。

すると花道はなんだか自信に満ち溢れたようだった。

「皆も花道を乗せるのがうまくなったな」

私は感心した。





残り10分

湘北ボール
試合再開

リョータから赤木先輩にボールが渡る。

翔陽の190代3人が赤木先輩を囲む。

すかさず、ミッチーにボールを渡す。

「スリーポイントだ」

私は立ち上がった。

バチン

「あっ」

ミッチーのスリーポイントは長谷川さんにブロックされた。

これは。

「ミッチー!ボックスワンだ!」


“ボックスワン”
ミッチーは長谷川さんにマンツーマンでマークされている。

シューターのミッチーを抑え込む作戦だ。

「くそっ」

ミッチーが肩で息をしながらコートをかける。

ボックスワンだなんて。

只でさえミッチーは体力を消耗しているのに、振り切るための動きで、疲れが更に増してしまう。
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