イベント
□2011.02.14
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清田信長
ちみちょこ
私は身長170、自分でいうのもなんだけど容姿端麗。
全国ベスト4の海南バスケのスタメンな私は、バレンタインの日は女子からチョコを沢山貰った。
ちなみに男子からも貰った。
中には本気の女の子もいて、私はモテるらしい。
う〜ん。
女の子にモテてもなぁ……。
好きな人がいないのも、また事実だけど。
そんなハッピーな日なのに、部活帰り、やけに暗いヤツがいた。
明らかに部活で張り切っていたソレとは違い、肩を落として俯いたままとぼとぼと歩いていた。
「ノブ、お疲れ。元気ないね?」
クラスが一緒のコイツもバスケ部でスタメン。
同じ境遇のせいか、仲はいい。
だからなんとなく気になったので、声をかけた。
「そうなんだよっ、聞いてくれよっ」
泣きそうになりながら、必死で訴えてきた。
「皆してチョコを受け取ってるのに、オレは一つも貰ってない!」
なんだ、ノブはチョコ貰ってないだ……、げっ。
私はチョコの入った紙袋をとっさに隠した。
が、すでに見つかっていた。
「おまえもかぁっ」
悔しがるノブ。
ちょっと気の毒だな……。
どうしよう。
私、バレンタインなんか興味なかったからチョコなんて作ってないし、買うにも今日は持ち合わせがないし……。
とにかくノブを慰めようと思考を巡らせた。
「ノブ、ちょっとまってて」
私は近くにあったスーパーに駆け込んだ。
スーパーから戻ってもふて腐れているノブに、ラッピングしてもらった袋を渡した。
「コレ?」
ノブが首を傾げる。
「バレンタインのチョコだよ。あげる」
強気の私から、ノブはおずおずと受け取った。
「サンキュー!」
すぐに満面の笑みで喜ぶノブ。
良かった喜んでくれた。
って、なんで私がノブにチョコを?
私は喜んでいるノブを見た。
まさか私、ノブの事が好きなんじゃ……。
だから落ち込んでるノブを放っておけなくてチョコを?
……なぁんて、わけないか。
「って、チロルチョコかよっ」
ノブが中身を見て叫んだ。
「うるさいわね。持ち合わせがなかったのよ。文句いうなら返しなさいっ」
「ぅえっ。貰うっ!ありがたく頂戴しますっ」
ノブがギュッと袋を握った。
ま、とにかく、喜んでくれて良かった。
「ホワイトデー、お返しするから!ありがとうっ」
ノブが手を振りながら走って帰っていった。
ホワイトデー。
ノブから私に?
……。
やばい、やばいっ。
嬉しいかも!
前言撤回。
私、ノブが……。
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