No.31〜60

□No.31
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今日の部活は黙ってマネージャーの仕事をしていた。

皆には体調が悪いとしか言わなかった。

……。

だって女の子の日なんだもん!

「零、大丈夫なの?」

「うん。家で黙ってるより、見てたほうが気が楽だし」

もちろん、女の子同士だから彩ちゃんは知ってるけどね。

「彩子くん、集合を」

安西先生が声をかける。



「5分休憩の後、5対5のゲームをしましょう」

安西先生が皆に話す。

ゲームか。

いいなぁ。

「チームは1年生対2・3年生。ただし赤木君抜き」

ケガ、してるしね。

「三井君」

「はい!」

あ、ミッチーがいい返事した。

あぁゆう返事、するんだ。

「君は審判。1年生にハンデをやらないとね」

安西先生はそう言って、ミッチーにホイッスルを渡した。

すると、体育館ギャラリーが増えてきた。

いいなぁ、試合。

「……光月、元気ねぇな」

「体調悪いっつってんじゃん」

「あんま、無理すんな」

ミッチーが優しく頭を撫でてくれた。

私、顔真っ赤になってないかな?



私は安西先生の横に座り、審判を勤めるミッチーを見る。

ミッチーはタオルを頭に巻いている。

やべ、お腹はかなり痛いけど、好きな人に対してトキメキが止まんない。

「カッコイイ」

「三井君ですか?」

安西先生に聞かれてしまった。

「……はい」

「青春ですね」

ホッホッホッ、と安西先生が笑った。

もぅ、恥ずかしい。

試合に集中しよう。



始まりのジャンプポールは花道と角くん。

圧倒的な高さで花道が取った。

ほんっと、なんつぅジャンプ力。

「角くんが劣ってるわけではないんだけどなぁ」

花道はインサイドで、角くんの上からどんどんダンクを決めている。

「そうですねぇ」

私が呟くと、安西先生がなにか企みがあるような言いぐさで返してきた。

なんだろう。

安西先生って、表情も眉毛も全く動かさないから、なに考えているのか全く読めないんだよなぁ。

花道の事ってのは分かるんだけど。

私はまた、花道を見た。

「もう、スタメンの選手以外には彼はもう止められないでしょうね……」

本当に、急成長してるよ、花道は。

天才とか天性じゃない。

花道はバスケが好きなんだ。

「ただ、こんなところで満足してもらっちゃ困る」

安西先生が立ち上がった。

「三井君、桜木君を抑えてくれるかね?」

ミッチーが花道を?

ミッチーはニヤリと笑った。

「やりましょう」

ミッチーが角くんと交代した。
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