No.31〜60

□No.38
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あれからアリスは、毎日部活に来るようになった。

よく流川と1on1をやっている。

アリスはまだ、1度も流川に勝ったことがない。

アリスも決して弱い訳じゃないけど、いつも流川に良いように流れを持っていかれている。

流川もアリスとの1on1を楽しんでいるようだった。

だって流川、アリスにスティールされるんだもん。

流川もまだまだ。

私は部活には出るものの、終わると直ぐにアリスと一緒に帰宅して、
椿ちゃんと美雪と合流し、ライブの練習という毎日だった。

今日は、ミッチーと流川がどうしてもついて来たいと言うので、花道も含め、私の家に来た。

だって花道は私の弟なんだもん。

ただ、あれ以来花道との関係を皆に話せないでいた。





「なんだ?光月の家でやるのか?」

ミッチーがリビングでくつろぎながら、私に聞いてきた。

「うちは」
「零先輩の家は、防音設備のある部屋があって、そこで練習してるんですよっ」

私がミッチーに説明しようとすると、アリスにミッチーを奪われた。

「……抱きつかなくなったのはいいけど、モーションが激しくなった」

私がため息をつくと、流川に肩を叩かれた。

……、慰めてくれてるのかな?

「零も大変なのがライバルになったわね」

美雪がニヤリと笑う。

「眼中にねぇし」

私は楽譜に目を通す。

「……ヤキモチ妬かないんですか?私だったら、妬きそうです」

椿ちゃんがミッチーとアリスを見ながら私に言った。

ヤキモチどころじゃねぇし。

「信じてるから、いいのっ」

「きゃー、恋しちゃってるね零っ」

「うるせぇ」

美雪が騒いでいるのがうざい。

「三井さん、幸せ者ですね」

椿ちゃんは柔らかく笑った。

……この子、綺麗になった?

「零さん!材料買ってきましたっ」

私が椿ちゃんにみとれていると、花道が大きな袋を2つ抱えてリビングに入ってきた。

「おぅ。毎日ありがとね」

私は花道の頭を背伸びをして撫でた。

「似てないですよねぇ」

アリスがポツリと呟いた。

「……似てるだろ?」

私は花道にくっついみせた。

すると花道は固まってしまった。

「どこがだよ」

ミッチーに突っ込まれる。

「負けず嫌いなところ。ほら、練習するよ!」

「「「はぁい」」」

私の掛け声に椿ちゃん、美雪、アリスが返事をして2階にあがる。

「花道、こいつらよろしくね」

私はミッチーと流川を指差した。

「はい!むぁっかせてくださいっ」

敬礼する花道に手をふって、私も2階へとあがった。
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