No.31〜60

□No.39
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長い夜は光月零の怒鳴り声で始まった。





「まてっ美雪っ」

ドア越しに光月の怒鳴り声が聞こえてきた。

「なんだ?」

三井寿と流川楓がリビングのドアを見ると、ドアが勢いよく開いた。

「あ、すみません」

最初に入ってきたのは木之本椿だった。

「今日はもう、練習にならないね」

続いてアリス・アンカースがリビングに入ってくる。

「椿さんもアリスさんも凄いんですねっ」

次に桜木花道。

「花道、零先輩の歌声聞いたら惚れるよ?」

アリスが得意気に桜木に話しかけた。

「そ、そうなんっすかっ?」

桜木が、アリスの話しにくらいつく。

「なにがあった?」

三井が声をあげると、アリスが三井と流川の間に割ってはいった。

「美雪のクラスメイトがライブの衣装持ってくるらしいですよ」

「……衣装」

三井はくっついてくるアリスにため息をつきながら、詳しく話を聞く。

「クラスの子が作ったらしいです」

アリスは強引に三井と腕を組んだ。

「離れろ」

「嫌です」

「アリスちゃん、三井さんが」

「離れないっ」

椿がアリスを宥めようとするが、アリスは断固として三井から離れなかった。

「……(零さん、苦労しますね)」

椿は困ってしまった。




「きゃ〜っ」

ビクッ

玄関で光月の叫び声が聞こえた。

「光月?」

叫び声に反応して、男3人が立ち上がった。

すると、光月がリビングに入ってきた。





私、大混乱中。

藤真健司と花形透がウチを訪ねてくるのはわかる。

だって緋村美雪のクラスメイトだから。

応援しに来たんだって。

でも!

なんで!

牧伸一と神宗一郎と清田信長がいるわけ?

なんか藤真さんはバッタリ会ったって言ってるけど……。

本当かなぁ?

なんか、牧さんと花形さんはよそよそしいし。

とりあえず、

「場所確保!」

玄関で沢山の訪問者を迎えた私は、リビングに戻って皆が座れるように指示をだした。

って。

「アリスっ!ミッチーから離れろっ」

ミッチーにベッタリとくっついているアリスに、私情をはさみながら、公私混同で怒鳴り付けた。

「嫌です。私は三井先輩が好きなんです」

わかってるよそんなことっ。

「じゃなくて、ソファーに座るのは3年生の特権だ。流川もそこノケ(避けろ)」

「3年生って誰ですか?」

アリスがミッチーから離れようとせず、私を睨み付ける。

ものわかりの悪いやつだなぁ……。

私はため息をついた。
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