仙道彰編

□Vol.01
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「好きです」

彼は頭を下げた。

「ごめんなさい」

私も頭をさげた。



恋い焦がれ





昨日、彼に告白された。



彼の名前は2年生、
 仙道彰。

同じクラスで、
隣の席のツンツン頭。

ちなみにバスケ部のエース、らしい。

たいして興味はない。

カッコイイとも思わない。

ただ隣の席だから、他のクラスの人達より会話が多い。

ってか、仙道くんから話しかけてくる。

どっちかというと、苦手なタイプ。

誰にでも、にへらぁと笑って、何を考えているかわからない。

そんな彼に、告白された。



私の答えは、もちろんノー。

仙道くんだって、きっと本気で告白してきたんじゃない。

私みたいな女に本気はない。

私は可愛くもないし、綺麗でもないし、明るい性格とはお世辞にも言えない。

しかも口ベタ。

そんなのわかりきってる。

だから冗談だと思って、断ったんだけど……。





「お昼一緒に食べようか」

なぜそんなにしつこく私を誘うの?

あなたとお昼を食べたい女の子なんか、たっくさんいるんだから、他の可愛い子を誘えばいいじゃない。

「結構」

「お昼ぐらいいじゃん」

何度も断り続けているのに、こうやって無理矢理私と一緒にお昼を食べる仙道くん。

別に2人だけってことではない。

「……今日も半ば強制?」

そう言って私の前の席の越野くんが、私の方へ向いて座る。

越野くんが仲介役というか、私と仙道くんの2人にしないようにしてくれている。

じゃないと仙道くんファンの子達が怖いから……。

越野くんの気遣い。

めっちゃ感謝してます。

「そう」

私は短く答えて、越野くんに感謝しながらもふて腐れながら自分のお弁当箱を開ける。

「……聞いたんだけど、仙道のことフったんだって?」

「当然」

私はきっぱりと言い切った。

「その話し、オレの前でするの?」

そんな笑顔で言われても、悲しそうに見えません!

やっぱり本気じゃなかったんだ。

すると、校内放送で仙道くんが呼ばれた。

「貴重な休み時間が……」

仙道くんはそう言って立ち上がった。

「光月さん」

「はい?」

突然仙道くんに呼ばれて、返事をした声が変になってしまった。

「オレ、諦めないから」

……は?

仙道くんはそう言って、教室を出ていった。

私と越野くんは、黙ってそれを見ていた。
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