仙道彰編
□Vol.04
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私は彰くんとお好み焼きを食べるために、彰くんの手を引いてある場所に向かっていた。
「どこに向かってるの?」
「家」
不意に聞かれた私は短く答えた。
「……誰の?」
「私」
「え?お好み焼きは?」
「姉貴が作ってくれる」
「ま、待って、心の準備がっ」
彰くんが立ち止まり、私も前に進めずに立ち止まり振り返った。
なしたんだろう。
「零のお姉さん?」
彰くんは首を傾げた。
「うん、彰くんに会いたいって」
私がそう言うと、彰くんはなにか考えているようだった。
なんだろ。
「姉貴に会うの、イヤ?」
「そうじゃないケドっ」
?
「は、恥ずかしいなぁ」
彰くんは何とも言えない複雑そうな顔をした。
「……本当は黙って連れて来てって言われてたけど、どうしたらいいかわかんなくて」
私、彰くんのこと困らせちゃったのかな?
「こういうの、わがままっていうのかな?ごめん」
「えっ」
「強引、だったよね……」
私の中で罪悪感が膨らんでいき、申し訳ない気持ちで一杯になり、
彰くんの顔を見ていられなくなった私は、俯いた。
「零はオレを驚かせようとしたんでしょ?」
私は頷いた。
「それにオレは、もっと零に甘えてもらいたいな」
どういう意味だろう。
「普段、バスケ三昧で彼氏らしいことしてあげられないからさ、こういう時に沢山甘えてよ」
甘え、たい。
「オレも零に甘えたいってのもあるんだけどね」
彰くんはヘラッと笑った。
「だから今日のはサプライズってことで、オレも頑張る!」
「なにを?」
なにを頑張るんだろう。
「君の家族に会うことをだよ」
「……緊張するの?」
「うん」
「大丈夫。一緒だから」
姉貴も悪い人じゃないし。
「零って、本当に元気でるなぁ」
彰くんがニッコリと笑って言った。
「零のこと好きで良かった」
!
「い、行くよっ」
私は強引に彰くんの手を引いた。
「はいはぁい」
私の家に向かった。