No. 1〜30
□No.6
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陵南高校との練習試合当日。
私は朝イチでお寺に足を運んでいた。
私の両親の命日。
去年、死に目に会えずに亡くなった。
落ち込んで、笑わなくなった私を救ったのは、“桜木軍団”だった。
不良のクセに、妙に優しくて、暖かくて、あいつらと一緒にいると自然と笑うことができるようになっていた。
「お父さん、お母さん。私、バスケ部のマネージャーになったんだ」
海岸沿いにあるお寺と墓地。
墓地だけど暗いしんみりした雰囲気ではなく、潮風が爽やかに吹く場所。
両親もきっとこの場所で安らかに眠っているだろう。
「し・か・も、今日ね私にバスケを教えてくれた人に、会えるかもしれないんだ」
私は両親のお墓の前に座り込み、朝早いこともあり、少しうつらうつらとした。
「はっ」
眠りそうになったんだよ私は、レム睡眠に入る瞬間に目覚めた。
「こんなところで寝ちゃダメだ!」
私は立ち上がり、荷物を肩に掛けた。
「お父さん、お母さんごめんね。私、バスケの練習試合に行かなくちゃ」
もう一度両手を合わせた。
「今度はお盆に会いに来るね」
私はお墓に手を振り、その場を後にした。