No. 1〜30

□No.8
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陵南練習試合後半戦



後半が始まって1分。

前半からの湘北の勢いは止まらなかった。

なんだか流川のプレイに力が入っている。

流川のスリーポイントシュートがリングへと吸い込まれていく。

陵南は後半開始1分でタイムアウトを取った。



「流川絶好調?」

一番最初に湘北ベンチに戻ってきた流川に話しかける。

「ウス」

流川は短く答えるが、試合から気持ちを話さないように集中しているのがわかる。

「そうか。……彰を越えることできる?」

この発言に湘北の皆は私の方を一斉に見た。

彰は凄い。

でもまだ本気じゃない。

彰を本気にさせて、湘北が勝つ。

これは完全勝利を意味する。

そのためには、流川が必要だ。

今のうちに彰を本気にさせなければ。

今までの運動量は半端ないと思う。

流川も後半は相当疲れると思う。

ただここでへばってちゃ、彰には敵わない。

「……越えて見せる」

「よし、越えてこい」

私は流川の背中を叩いた。

「ったく、熱い奴が多いな、今年は」

赤木先輩が呆れたように言った。

「赤木先輩も!」

私はチッチと人差し指を振る。

「なんだ光月」

「魚住さんに負けたら承知しませんよ」

「フッ、任せろ」

赤木先輩が自信満々に言ったとき、陵南ベンチがざわめいたのがわかった。

花道がスパイにいってたらしい。

それがわかったのは、彰と睨み合っているところだった。

なんか静かだなぁと思ったら。

バカ花道。

彰は気付いているのかな?

花道の素質。

「零!花道を縛り付けてっ」

彩ちゃんが叫んだ。

「うん」

私は彩ちゃんに頷いてから、陵南ベンチにいる花道に近付いた。
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