No. 1〜30

□No.12
1ページ/10ページ

課外授業でいない赤木先輩以外のバスケ部員が始まりの円陣を組んだ。

「「「湘北ー」」」



ダンッ

この体育館では聞き慣れない音が響き、気合いの掛け声が遮られた。

入り口を見ると、さっき見た男達が外靴をはいたまま、体育館の中に入って来た。

「オレもまぜてくれよ、宮城」

長髪の男が、バスケットボールを片手に言い放った。

「おい、土足で上がらないでくれ。靴を…」

最初に声をあげたのは木暮先輩だった。

それをリョータが制(せい)す。

土足で体育館に入って来やがって。

なに、あいつら。

私はもう我慢できなかった。

「三人ともここから動いちゃダメだよ?」

できるだけの笑顔で晴子ちゃん達に言う。

「「「はい」」」

返事を聞いた私は男達の方へ、ゆっくりと歩き出した。

「オレ達もまぜろよ宮城。ん?」

長髪の男がまだ何かを言っている。

すると、塩くんと桑ちゃんのヒソヒソ話が聞こえてきた。

「三井って人だよ、あれが……」

「まさか、宮城さんと事件起こした人?」

……。

三井。

この人が三井。

私は三井の前に立ちはだかった。

「ちょっと、ここバスケ部なんですけど」

「零ちゃんっ」

私は長髪の男を睨みつけた。

「それにあんた、ここは高校。タバコ吸っちゃいけないの。わかる?」

私は桜木軍団で学んだ睨みを、男達にむける。

「威勢のいい女だな」

三井がニヤリと笑った。

「そりゃどぉも」

すると、タバコを吸っていた男が、吸い殻を床に落とした。

「コラァ!!」

「花道っ」

私はリョータが花道を止めているのが分かっていたので、花道の方へは振り返らず、三井を睨み付けた。

「零ちゃん」

リョータに腕をくいっと引っ張られ、私はそのままリョータの後ろについた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ