No. 1〜30

□No.13 わっかんねぇよ
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木暮先輩の話が終わり、体育館が静かになった。
私と同じなんだきっと。バスケがしたいんだ。

そう思うと、三井先輩が焦れったくてイライラしてきた。

「三井先輩」

私は三井先輩と向き合うように立った。

「零さん」

「零ちゃん」

洋平とリョータが私を心配して、名前を呼ぶ。

「本当はバスケしたいじゃないんですか?」

そういった瞬間、三井先輩の右手が私の左頬に当たった。

「零さん!」

「花道!」

私に駆け寄ろうとする花道を制する。

殴られた頬をさすりながら、もう一度三井先輩を見据える。

「足、治ったんですよね?バスケ、皆と一緒にやらないんですか?」

ドンッ

私は三井先輩に両手で押され、後ろに倒れてしまった。

「いった……」

「なにが一緒だ!」

三井先輩が私に向かって、叫ぶ。

「バスケなんてオレにとっちゃ思い出でしかねーよ!」

思い出。

「つまんなくなったから辞めたんだ!それが悪いか!」

つまらなくなった?

「三井!」

ガバッ

木暮先輩が三井先輩の名前を呼んだのと同時に、私は立ち上がって三井先輩の胸ぐらを掴んだ。

「根性なし!」

そう叫んだ私は、涙が溢れていた。

「治ればバスケができたのに!」

私は三井先輩を揺する。

「逃げたのはあなたじゃないですか!」

ずるい。
三井先輩はずるい。
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