No. 1〜30

□No.14
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バスケ部暴力事件後、皆練習に渇を入れ練習している。

洋平達が庇ってくれたんだ。

その分がんばらねぇと。

今日は土曜日なので、朝からの練習。

インターハイ予選前の皆は、本当に気合いが入っている。

「チュース」

練習中に見慣れない男子が体育館に入ってきた。
あれは、まさか。

「「「誰?」」」

体育館にいた全員がそう思うなか、私はその男子に駆け寄った。

「三井先輩っ」

「「「……え〜っ!?」」」

三井先輩は髪を切った。ベリーショートぐらいかな?

なんだか爽やかでカッコイイかも。

「三井先輩、良いですね!」

「そう、か?」

あ、ちょっと照れたところとかメロメロです。

「はい。カッコイイです」

私はできるだけの笑顔で三井先輩に答えた。



三井先輩が来てからの私は、なんだか身体が宙に浮いている気分だった。

「零、なんだか楽しそうね」

「えへへ」

彩ちゃんと私はドリンクを作りながら、話す。

「まだ私に隠し事してない?」

「え?」

私はドキリとした。

「病気の事は知ってたけど、三井先輩の事は知らなかったわよ」

あう〜。

「ごめんなさい」

「まぁ、いいわ。まだ話していない事があるんだったら今度ゆっくり聞かせてもらうから」

彩ちゃんがにこりと笑って、体育館の中に入っていった。

「はい」

私もいつの間にか重くなった足を体育館へ運んだ。



中ではちょうど3対3をやっているところだった。

あの赤い頭は目立つなぁ。

「花道!空中でボールを取って着地するときは?」

「両足で着地!」

「よろしい」

花道もバスケットマンかぁ。



パン

ボールが三井先輩に渡った。

なんでだろう、ドキドキする。



パスッ

きゃ〜!

ミドルからのシュートが見事に決まった。

「三井先輩ナイッシューっ」

「おう」

はう〜。

晴子ちゃんの気持ち今ならわかるかも。

「むっ」
「零さん、ミッチーばっかりっ」

花道が、私の前に立ちはだかる。

ちょっと、ミッチーが見えない。

じゃなくて三井先輩!

「ハロー。差し入れでーす!」

「ハルコさん」

晴子ちゃんがビニール袋一杯にポカリのペットボトルを詰め、部活を訪ねてくれた。

流石晴子ちゃん。

気が利くわ!

そう思いながら三井先輩見たさで、コートに視線を戻す。

花道が晴子ちゃんの方へ行ったお陰で、視界が開けた。

ボールは流川。

「おっ、流川だ」

一瞬でゲームに集中した私は、流川のプレイを見た。



一瞬、流川がこちらを見た。

なぜ今、流川は私を見たのかしら。



ガンッ

次の瞬間に流川はダンクを決めていた。

さっすが流川。

「ナイス流川!」

マネージャーの私はもちろん流川に声をかける。

「ウス」

流川も三井先輩と同じで二文字で返してきた。

「あはは。本当に気合い入ってるなー、流川は」

「誰のせいよ」

彩ちゃんが横目でちらっと私を見た。

「へ?誰?」

彩ちゃんはやれやれと頭を抱えた。



誰のせいなんだろう?
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