イベント
□2011.02.14
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仙道彰
逆チョコ
終った。
2月14日が終った。
風邪をひいた私は、この日家に引きこもっていた。
好きな人へのチョコを作ることも買うこともできず、ただ寝て過ごした2月14日もあと1時間で終わる。
無念。
……仙道くん、ごめんね。
〜♪
携帯にメールを着信。
開いてみると仙道くんからだった。
“玄関あけて”
……え!?
玄関って、私の家の!?
私は慌てて、1階に降りて玄関のドアをそっと開けた。
外にはやはり仙道くんが立っていた。
なんで?
「こんばんは。風邪、大丈夫?」
「だ、大丈夫じゃないわよ、こんな時間になにしにっ」
私が怒ろうとしたとき、仙道くんに大きな手で口を塞がれた。
「しーっ」
仙道くんが人差し指が私の唇に触れる。
……なにも喋れない。
「そんな、風邪ひきさんにプレゼント」
え?
仙道くんの鞄から、四角い綺麗なブルーの包装紙に包まれた箱が出てきた。
それを手渡された。
「これって…」
「Happy Valentine」
うそ、まさか、逆チョコというやつでは?
「まちきれなくて渡しに来ちゃった」
でも、
「私、今回なにも用意できなくてっ」
「しー」
また、人差し指で口を塞がれた。
「ホワイトデー、楽しみにしてるから」
ニコリと笑う仙道くん。
あまりにもかっこよすぎて、熱がまたあがりそうになった。
「じゃぁ、お大事に。明日学校でね」
家を出ようとした仙道くんの学ランを引っ張った。
「どうしたの?」
ズルイ。
仙道くんてズルイ人だ。
「ありがとう」
「どういたしまして」
学ランから手を離して、手を振った。
「おだいじに」
ちゅ
頬にキスをされ、仙道くんは帰っていった。
私も部屋に戻って仙道くんから貰った箱を開ける。
中には手紙が入っていた。
“大好きな君へ”
もう、キザなんだから。
仙道くんからの暖かい気持ちを抱きしめた。
ありがとう。
ホワイトデーは楽しみにしててね。
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