イベント

□2011.02.14
4ページ/6ページ


桜木花道

続きはまた後で…




高校生活初めての2月14日。

いつものように授業を受けて、桜木くんをみにバスケ部に顔をだした。

んだけど。

「渡しそびれた……」

そして今、帰り道。

私は好きな桜木くんにチョコレートを渡せずに、部活が終り帰路についてしまった。

左手には気合いを入れてラッピングしたチョコレート。

どうしようコレ。

「あっ、いたっ」

後ろで声がした。

まさかと思って振り返ると、桜木くんが私の方へと走ってきた。

「さ、桜木くん?」

どっ、どうしよう。

今、渡すチャンスでは?

「コレ」

私がうろたえていると、桜木くんが私になにかを差し出した。

桜木くんの大きな両手には、小さい箱が。

えっと、コレ、もしかしてバレンタインチョコレート?

「私に?」

「いつも応援してくださって……、そのお礼に」

桜木くんの顔がどんどん赤くなっていく。

よくみると脇に、大きいであろう綺麗に畳まれた袋を抱えている。

私だけじゃなくて、いつも体育館に応援にきてる子、皆に渡してるんだぁ。

優しいなぁ、桜木くんは。

……ちょっと、悲しかった。

「ありがとう」

私は右手で桜木くんから箱を受け取った。

桜木くんと同じ赤い色の箱。

「どう、いたしまして。では、また明日っ」

回れ右をして走りさろうとする桜木くん。

……待って。

桜木くんは袋しか持ってなかった。

“誰からも貰ってない”?

私も、桜木くんに渡さなきゃ。

「待って桜木くん」

桜木くんは立ち止まり、振り返ってくれた。

渡したい、渡さなきゃ。

「あの、……あのねコレ」

私は左手に持っていた箱を差し出した。

「オレにっすか?」

私は頷いた。

「あ、ありがとうございますっ」

桜木は涙を流しながら喜んで受け取ってくれた。

そんな桜木くんが可愛いくて笑ってしまった。

「大袈裟よぅ」

「いいえっ、大切にいただきますっ」

渡せたことよりなにより、嬉しそうな桜木くんの顔が見れてよかった。

勇気をだしてよかった。

でも、そのキッカケをくれたのも桜木くんで。

「桜木くん、ありがとう」

「オレの方こそ、ありがとうございます」

私と桜木くんはペコリと頭を下げた。

「あの」

「?」

桜木くんの動きがしどろもどろになっていく。

おかしくて笑いそうになったけど、次の言葉を待った。

「帰りは一人ですか?」

えっ。

「うん、1人だけど」

1人……。

ここで桜木くんを誘ったら、一緒に帰れるチャンスでは?

「あの」
「えっと」

「「一緒に帰りませんか?」」

桜木くんとハモってしまった。

なんだかおかしくて、私達は笑いあった。

「ちょっと待っていてください。鞄取ってきます」

「うん」

元気よく桜木くんは走って部室へ戻っていった。

やっぱり私、桜木くんが好きだなぁ。

……って、2人きりで下校だよ!



どうしよう私!





Next→清田信長
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ