イベント

□2009秋
2ページ/6ページ


仙道彰バージョン





「秋だなぁ」

彼はそう言って、大きな欠伸をした。

彼は校庭の銀杏の木下にゴロンと横になっていた。

「彰!」

「ん〜充電中」

「何を訳のわかんない事言ってんの!こんな所でねっころがって!」

彼が部活に来ないせいで、コッシーに探しに行けって言われた私の身にもなってよ。

「ほら、部活もどるよ!」

私は彼を叩き起こす。

彼の腕を引っ張り、なんとか上半身を起こす。

「んも〜。重たい」

私は力尽きて彼から手を離した。

「よいしょ」

すると彼は、自分で立ち上がった。

始めからそうしてよ。

「ほら行くよ」

私は彼が逃げないように、彼の左手を引っ張る。

「そっちじゃないよ」

そう言われて私は彼の方を向いた。

「きゃぁ!」

腕に少し痛みが走ったと思ったら全身が暖かくなった。

「な、なにをしてるのよ!」

私は彼に抱き留められていた。

「充電中」

……。

人で充電しないでくれるかな。

「よし。充電完了」

彰はなんの躊躇いもなく私から離れた。

「さあ、いこーか」

彰は少しかがんで私と目線を合わせ、満面の笑顔を向けた。

「調子に乗るな!」

私は彼のジャージの襟足を掴み顔を引き寄せた。

さっきのお返しとばかりに、噛み付くようなキスをしてやった。

勢いがよすぎたせいか、ちょっと唇が痛かった。

彼から離れて、もう一度左手を引き直した。

「……過充電」

彼は口元を右手で押さえながら、大人しく私に手を引かれている。

「うるさい。バスケで放電しろ」

私達は体育館に戻った。  
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ