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□2009X'mas
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越野宏明バージョン







「宏明なんて大嫌いっ!」

クリスマスのデート中、私たちは些細な事で大喧嘩してしまった。

私は彼のもとから走りだし、ホコテンのベンチに座っていた。

眺める光景はカップルばかり。
隣にいるはずの彼は私が置き去りにしてきた。

そう思うと、心も身体も寒い。

寂しくて、切なくて、涙が溢れてくる。

「宏明ぃ、ごめんなさい」

「ばぁか」

聞き覚えのある声と共に、頬が熱くなった。

振り返ると彼が、リプトンのミルクティー缶を私に差し出していた。

頬にあたってたのは、これ?

私はそれを受け取った。

「あったかい」

「ったりまえ」

彼はそう言って私の隣に座った。

「悪かったな」

彼に頭を撫でられた。

暖かい缶を握っている手も私の心も暖かくなっていく。

「それ、飲んだら行くぞ」

「どこに?」

彼が私の手を握った。

「……さっき言ってた、ケーキ屋」

……さっきは、『そんな所に行けるか!』って言ってたのに。

「行きたいんだろ?」

「うん」

いいのかな?

嫌じゃないのかな?

「2人で行けば、どこでも楽しいんだろ?」

「……うん!」

私、彼のそうゆう所が好き。

「……だから、嫌いなんて言うなよ」

そう言った彼の顔は寂しそうだった。

「ごめん」

少し、心が痛んだ。

「ごめんじゃなくて」

彼と繋いでいる手に力が入るのがわかった。

も〜、恥ずかしいけど。



「大好き!」



彼は私を抱き寄せた。

「オレも、……好き」

彼の声がいつまでも響いていた。
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