No.31〜60

□No.36
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「零さぁんっ」

私が彩ちゃんから離れると、花道が物凄い勢いで走ってきた。

花道は、頭の包帯を巻きに医務室にいってたんです。

「花道」

私も花道に向かって走り出す。

そして、抱きつく。

「ぬわぁ!零さんっ」

「花道、凄かったよ〜。やっぱ天才だね!」

私は抱きついたまま、花道を見上げた。

「そ、そうっすか?」

花道の顔がほわわんとなる。

可愛いやつめ。

「零、いい加減抱きつくのやめなさい」

「はぁい」

彩ちゃんに咎められ、花道から離れた。

「光月」

ミッチーに呼ばれて、ミッチーの横に立った。

「なに?」

私が聞き返すと、ミッチーが言いずらそうに、口を開く。

「いや、なんでもない」

なんだ?

気になるなぁ。

「あ、陵南だ」

ササちゃんが呟いたのに、私は反応した。

彰に、伝えなきゃ。

「……」

でも、勇気がない。

「零さん」

花道に背中を押された。

「花道?」

「行かないと、後悔します」

花道の目は優しかった。

「ちょっと、行ってくる」

私は、彰のところまで走った。





「彰のっ、バカぁ」



パシンッ

そう言って私は、彰の背中をおもいっきり叩いた。

「「「!」」」

それを見ていた湘北と陵南の両チームは、驚いてる。

「なにするんだよ零っ」

もちろん彰も、背中をさすりながら驚いている。

「なぁに、負けてんだよっ」

「……」

彰が困った顔をしている。

「冬の選抜、這い上がってこいよ」

「……」

「その時も、湘北が勝つからな」

私は彰に宣戦布告した。

「いや」

すると彰がニヤリと笑った。

「その時は陵南が勝つ」

彰はこうでなくちゃ。

「ふん。やれるもんならやってみろ」

私は仁王立ちして笑った。

「やってやるさ」

私達は笑い合った。

「零ちゃんには敵わないね」

コッシィが私の頭を撫でる。

「でしょ?」

「ナマイキだな」

魚住さんに溜め息ついた。

「ぶぅ。魚住さん、ヒドイ」

私は頬っぺたを膨らませた。

すると、皆笑いだした。
なんだよぅ。

「可愛いね、零ちゃんは」

コッシィに言われると、照れる。

「越野にはあげない」

彰がそう言って私の腕を引っ張り、私を抱き締めた。

「あ、彰っ」

私は突然の出来事に、両腕を突っぱねて彰から離れようとしたが、びくともしない。
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