仙道彰編

□Vol.01
2ページ/16ページ

今、なんて言った?

『諦めないから』

って、何を?

わ、私をってこと?

……まさか。

「光月ちゃん」

越野くんに呼ばれ、私は我にかえった。

「はい?」

「仙道、本気で君に惚れてるんだよね」

……越野くんまで何をいってるのよ。

「冗談だと思って断ったならさ、少しだけでも仙道の気持ち受け取って欲しい」

そう言った越野くんの目は真剣だった。

仙道くんの気持ちを受け取る。

それって仙道くんが私を本気で好きだっていうことを、認めるってこと?

「あぁやって笑って見せてるけど、光月ちゃんにフラれたこと、かなりショックに思ってるぜ」

仙道くんが私にフラれてショック?

私は今朝からの仙道くんの顔を思い出してみた。

そういえば心なしか元気がなかったように思える。

「あんな性格だから、軽いとからチャラチャラしてるって思われやすいんだ」

……。

「だけどさ、光月ちゃんには仙道の事、誤解しないでいて欲しいなって」

誤解。

越野くんの言う通り、私は仙道くんの事を誤解してた。

昨日、私にフラれても、今日笑ってたのは、私の事気遣ってなんだよね?

「オレが言いたいのは、それだけ。ご飯食べちゃおうぜ」

越野くんにそう促され、私は黙々とお弁当を食べ続けた。





お昼休み終わりの頃、仙道くんが戻ってきた。

仙道くんは『ごめんね』と笑って、私の隣に座った。

その笑顔も無理して笑ってるのかな?

……私が好きだから?

私のどこが好きなんだろう。

まだ、仙道くんの冗談にしか思えない。

本気だなんて信じられない。

ただ、仙道くんが傷ついているのは表情から汲み取れる。

『諦めないから』

さっきから仙道くんのそのセリフが頭から離れない。

あれが仙道くんの本心だとしたら尚更、私なんかより可愛い子は沢山いるんだから、私なんかで立ち止まらないで欲しい。

早く、諦めてもらおう。

私はそれだけ考えて、授業に集中した。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ