仙道彰編

□Vol.02
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数学の授業。

好きな教科なのに、全然楽しくない。

彰くんの事ばかりを考える。

怒ったりしてごめんなさい。

ムシしてごめんなさい。



仲直りしたい。



さっきの彰くんの冷たい顔、怖かった。

私、嫌われちゃったかな。

彰くんの、優しい笑顔が見たいよ。

「じゃぁ、光月、ここ解いてくれ」

先生に当てられハッとした。

私はノートを持って立ち上がった。



ぐわんぐわん



視界が回った。

目頭が熱くなり、頭がボーっとしてきた。

次の瞬間、視界が真っ暗になった。















「彰くん」

暗闇の中、私は愛しい人の名前を呟いた。

視界が開けていく。

見えるのは白い、天井?

「あ、気がついた」

この声は。

「……彰くん?」

声のする方を見ると、いつものツンツン頭が目に入った。

「よかった。零、教室で倒れたんだよ」

私、倒れた?

その時お腹に痛みが走った。

私、生理中だった。

「先生が貧血だろうって」

だよね。

「大事じゃなくで、本当によかった」

彰くんの安心しきったような笑顔が、私の胸を締め付けた。

とゆか、彰くん授業サボってたのになんでここにいるんだろう。

……?

考えても分からなさそうだったので、考えるのをやめた。

「先生は?」

薬があればいいなと、私は彰くんに尋ねた。

「なんか、赤い薬を置いて職員室に戻っちゃった」

……さすが保健室の先生。

分かってる。

私は起き上がった。

「零っ、起き上がって大丈夫?」

慌てている彰くん。

「零、ずっとうなされてたからっ」

こんなにあたふたしている彰くん、初めて見た。

「大丈夫」

私がそう言っても、彰くんは私を支えようと、背中に手を添えてくれている。

彰くんの優しさに、心和んだ。

私はこんな優しい人を、なんで突っぱねていたんだろう。

なんだか自分が、嫌なやつに思えてきた。

「零ずっと、オレの名前呼んでたんだ」

へ。

「そんなにオレの事、考えていてくれたんだね」

……そう、ずっと考えてた。

彰くんに嫌われたんじゃないかって。

そう考えると、胸が締め付けられる思いだった。
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