仙道彰編

□Vol.04
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私は家のドアを開けた。

「ただいま」

「おじゃましまぁす」

彰くんは私の家に入ってもいたって普通。

緊張するっていってたけど……。

「零、お帰り。彼氏くん連れて、き、た?」

姉貴は私達を見るなり、カタコトな話し方になっていった。

「ってゆか、仙道くんじゃん!」

姉貴が彰くんを指差した。

「ドウモ」

彰くんは驚きながらも会釈した。

「大物を捕まえたわね、我が妹は」

「姉貴、知ってるの?」

「知ってるもなにも、神奈川のバスケットプレイヤーなら誰でも知ってるわよっ」

彰くんって凄いんだ、知らなかった。

「今年は牧くんを喰らうかもの仙道彰よ」

牧?

さっきスポーツ店で会った牧さんの事かな?

私は訳がわからず、彰くんを見ると困った顔をしていた。

「あ、姉貴の和海(かずみ)」

遅れて姉貴を紹介する。

「海南バスケ部の光月和海。以後お見知りおきを」

姉貴が彰くんに手を差し出した。

「仙道彰です」

彰くんと姉貴が握手を交わした。

「さ、立ち話もなんだし、中に入って。調度お好み焼きができたところなの」

私達は姉貴の後に続いて、リビングに入った。



「お、来たか。零の彼氏、はいけぇん」

姉貴の彼氏が機嫌よさ気に台所から出てきた。

「って、うえっ!仙道っ」

また?

そういえば、三井さんもバスケやってるんだったっけ。

……これからは、もう少し他人に興味を持とう。

「へぇ、この無愛想ちゃんがどんな奴連れて来るかと思えば、普通の奴だった」

「普通ですか?」

「いやぁ、意外に赤木みたいな奴を想像してたからよ」

彰くんが不思議そうな視線を私に向けた。

「だって、零ったら“彼氏出来た”しか言わないんだもの。想像と妄想が膨らむわよ、ねぇ寿」

「カズの言う通り」

皆、好き勝手言うんだから。

「赤木さんって湘北の、ですよね?」

彰くんが三井さんに聞いた。

「おぅ。そういやぁ、4月に練習試合したんだってな」

……あれ?

「三井さん、湘北ですよね?」

「おう、湘北バスケ部だ」

それを聞いた私と彰くんは顔を見合わせた。

「あれ、でも練習試合はいませんでしたよね」

彰くんが言うと、私は何度も頷いた。

練習試合に出てなかった。

「……色々あったんだよ」

三井さんが視線をそらした。

「そう、色々」

姉貴がクスクスと笑う。
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