No. 1〜30
□No.1
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新学期。
桜が咲き乱れるころ、出会いの季節がやってきた。
神奈川県立湘北高等学校
入学して2年目
出席日数が少なく、遅刻や早退が多い私は、学力を武器になんとか無事に2年生へと進級して、春の校門をくぐる。
申し遅れました。
私は光月零。
高校2年生、16歳。
身長は……158。
髪は茶色のセミロング。
肩ぐらいまでかな。
茶色なのは色素が薄いから。
染めてるわけではない。
スリーサイズはもちろん秘密。
なんて言っているうちに、親友の彩ちゃん発見!
「彩ちゃん!」
「おっはよー、零!」
よっ、と私に声をかけたのは、パーマの長い髪がトレードマークのバスケ部マネージャー彩子ちゃん。
高校からの友達だけど、何でも気兼ねなく話せる頼れる親友。
「零、マネージャーにならない?」
まただ、と思いながら私は彩ちゃんを睨む。
「毎朝、その話ぃ?やらないよっ!」
彩ちゃん的にはバスケ部のマネージャーがもう1人欲しいらしい。
その矛先が去年の秋頃から、私に向けられている。
「あらそう。さ、早く教室行くわよ!」
「はーい」
だからといって、しつこく要求はしてこない。
長いことやっていると、そのやり取りが、挨拶みたいになっていた。