No. 1〜30

□No.2
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なんだか知らないうちに1年生対上級生のゲームをするということで、みんながアップをしはじめた。

私がさっき俯いているうちに、決まったらしい。

それと近々、陵南高校との練習試合をやることも聞いた。

陵南、か。



「彩ちゃぁん」

私はスコアボードに書き込みをしながら、彩ちゃんに話しかけた。

「陵南ってさぁ」

「ん?あぁ。去年、神奈川県ベスト4に入った高校よ、って、そのくらいは知ってるでしょ?」

まったくもう、と彩ちゃんが溜め息をつく。

「いや、うん、まぁ」

知ってるけど、一応確認を……。

陵南かぁ……。

「試合にでたい、でたいでたいでたいでたいでたい」

横で花道がぶつぶつとなにか呟いている。

「うるせぇ花道」

今、考え事してんだよ。

「零さぁんっ」

花道が涙目で私を見つめる。

「うっ」

花道が泣き脅しか?

正直引く。

「零さん!試合にっ」
「黙れ花道!あんたは初心者なんだからダメに決まってんだろっ」

つい大声をだしてしまい、アップしていた皆が私を見る。

「……、光月?」

そりゃあもう赤木先輩もビックリするぐらい。

「あ、桜木花道は私が黙らせますんでご心配なく」

ちょっと恥ずかしかったので、私は満面の笑みで赤木先輩に返した。

(可愛い……)

なぁんて、その場の男全員が心の中に思ったなんてツユともも知らず、
自分に近づいてきた可愛い女の子に話しかけた。
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