No. 1〜30

□No.6
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私立陵南高等学校
    運動部棟


「着いた、……ケド」

私は湘北の皆が到着するころの時間には陵南高校に着いたはずだった。

……。

はずだった!

「バスケ部の体育館ドコー!」

私は校内で迷子になってしまい、今だに、湘北バスケ部と合流できずにいた。

「バスケ部体育館に行くの?」

「え?」

後ろから声がしたのと同時に、私は走り出していた。

「ちょっと!」

前を見ると、学ランを着た身長が高い、
髪の毛ツンツン男に手を引かれながら走っていた。

ヤバい。このまま走り続けたら……。

「到着」

「あれ?」

バスケ部体育館は意外にも近くにあったらしく、直ぐに着いた。

よ、良かった。

体育館に到着できたことより、私は別の意味で安心した。

ツンツン男が体育館の扉を開けた。

「「「チワース!!!」」」

……ツンツン男のせいで中が見えない。

「わりぃ」

ツンツン男が誰かに向かって謝った。

……見えない!

「コラァーッ、この馬鹿者!!」

ビクッ

声が違えど、私は今、赤木先輩を思い出した。

とゆか、赤木先輩に怒られたかと思った。

「今までいったい、何をしとったんじゃぁ、仙道!!」

えっ。

仙道?

私は見上げた。

……仙道!?

このツンツン男が!?

そりゃぁもう、怒髪天をナンチャラって……とにかくツンツンした髪型なんだってば。

「すいません先生。寝坊です」

うっわぁ。

ストレートに言うなぁ。

仙道が体育館の中に入ったことで、やっと視界が開けた。

「……仙道、この子は?」

「あぁ、監督。迷ってたらしかったんで、連れてきました」

監督……。

あ、陵南高校の監督だな!

「あの、湘北マネージャーの光月零です。
使用で現地集合させていただきました。今日はよろしくお願いします」

私は深く頭を下げた。

「零?」
「零っ」

仙道がなにか呟いたが彩ちゃんの呼び声で、なんと言ったかわからなかった。
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