No. 1〜30

□No.8
2ページ/18ページ

私は、怒る赤木先輩を呼び止めた。

「ちょっと避(よ)けててください」

と、私は赤木先輩に笑顔で言った。

赤木先輩は訳がわからないようだったが、避けてくれた。

花道の後ろ、がら空き。

「花道〜」



ドカッ

私は花道の首裏への回し蹴りに成功し、
大人しくなった花道を湘北ベンチまで引きずっていき、
椅子にくくりつけた。

言うまでもなく、体育館は静まり返り、怯えた空気になった。



そのころ体育館2階では。

「花道、零さんの蹴りをまともに喰らうとは哀れな……」

洋平は痛くもない首を押さえて、呟いた。

「オレ、この体育館の中で零さんが一番怖いと思う」

大楠が、身震いしながら呟いた。

「零、運動量はないけど、技一つで相手をのしちゃうもんなぁ」

高宮が気の抜けた顔で言った。

「……あれ?洋平と零さんのタイマンって、どっちが勝ったんだっけ?」

野間が首を傾げる。

「なにをいきなり、昔の話をしてるんだよ」

洋平が野間を軽くどつく。

「今の零さんの回し蹴りを見て思い出したんだが……」

視線が洋平に集まる。

「零さんに勝てるわけないだろ?」

洋平が笑って皆に返す。

「そもそも、タイマンの始まりってなんだっけ?」

高宮が洋平に尋ねる。

「……そのうち話すよ」

「「「ふ〜ん」」

彼らの会話はそこで終わり、試合を見始めた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ