No. 1〜30
□No.10
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1日の始まりは授業ではなく部活であって欲しいと、最近、切実に思うようになった。
バスケを見たい。
ボールに触れていたい。
少しで良いからプレイしたい。
今日は特に、安西先生に会いたい。
会って報告したいことがある。
少しの時間だけ、運動の許可が降りたことを。
焦る気持ちを押さえながら、私は授業を受けた。
「彩ちゃん、お先!」
帰りのホームルームの終了のチャイムがなると同時に、私は教室を飛び出した。
「全く、あの子は」
彩ちゃんに溜め息をつかれているとも知らず、息が切れない程度の早ある気で体育館に向かった。
「チュース」
そう言って入った体育館は誰もいなく、私の声がよく響いた。
「…よし」
私は、ボールを取りだしバスケットゴールへドリブルをして向かう。
花道や流川みたいに身長が高いわけではないため、レイアップシュートの形は綺麗に決まらないが、
久しぶりにドリブルシュートをしたわりに、リングはすんなりボールを受け入れた。
「できた!」
息は弾む。
でも、苦しくない。
「苦しくない」
私は胸を押さえた。
私は少しずつ、回復に向かっている。
こんなに、リハビリの効果が出るようになったのは、バスケ部のマネージャーになってからだ。
私は、身体を動かせる喜びに、感動していた。