Short S.
□ENDLESS LOVE
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最初はオレの一目惚れだった。
女にしては高身長で、スラッとしたスタイル、長い手足。
顔は黙っていればクールで近寄りがたい雰囲気をかもしだしているが、話してみれば甲高い声は心地よく、かなりのロマンチストだと知った。
一目惚れなんか、いつか気持ちが冷めると思って、気にしないでいた。
自分の気持ちを押し込めば押し込んだだけ溢れてくる。
本気で好きなんだと、越野も彼女が好きな事を聞いたときに確信した。
でもその気持ちは、心の中に留めていた。
越野には、オレの気持ちは言わなかった。
そして、自ら行動した越野が彼女と付き合っている。
オレには、越野みたいに告白する勇気なんてなかった。
だからひがむのを辞めようと、嫉妬するのも辞めようと、彼女は越野を選んだんだと言い聞かせるための質問が、さらにオレを掻き立てるなんて。
『……仙道くんはカッコイイよ。今でもそう思う』
なんでそんな事を言ったんだ。
諦めようにも、諦められなくなるじゃないか。
オレは次の日から、その事を忘れるためにバスケに没頭した。
「仙道、気合いはいってるな」
越野が飛ばしすぎるなよ、とオレの肩を叩く。
わかってる。
ただ、忘れたい。
オレの好きな子は、おまえの彼女だと、叫びたい。
ダメだ。
越野は悪くない。
忘れろ。
ガツンッ
力任せに、リングにボールを叩きつけた。
「おい、仙道大丈夫か?」
越野が話しかけてくる。
「顔色悪いぞ、息もかなりあがってる」
……よく見てるな、オレのこと。
「今はオフだっていっても、キャプテンが体調不良だと、みんな心配するぜ」
まぁ、そうだろうね。
「……わりぃ、帰る」
心配してくれている越野に背を向けた。
「おぅ、大事にな」
越野の明るい声が聞こえてきた。
一度頭を空っぽにしなくちゃ。
みんなに悪い。
忘れろ。
わすれろ。
ワスレロ。