Short S.

□ENDLESS LOVE
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僕の幸せは君でした

ENDLESS LOVE





2年の冬。

「好きです、付き合って下さい」

オレは遠くから見ていた。

越野が一つ年上の彼女に、告白している。

「……」

告白された彼女は、突然の事で驚いている。

「オレじゃダメですか?」

越野が寂しそうな顔をした。

「あの、驚いちゃって……」

彼女の顔が赤くなった。

あぁ、これは……。

「私も、越野くんのこと好き、です」

オレの心臓に氷のナイフが突き刺さった気がした。










「ひぃちゃん、見に来たよ〜」

彼女の声は甲高くてよく通る。

体育館にドリブル音が鳴り響いていても、彼女の声はよく聞こえる。

でも耳障りじゃない。

むしろ好きだ。

「だから、ひぃちゃんって呼ぶなっ」

越野は基礎練を抜け出し、彼女の元へ行ってしまった。

楽しそうに喋る二人。

苛々する。

「越野〜、サボりぃ〜」

オレは冷やかすように越野に叫んだ。

「仙道に言われたくない!」

越野はそう言って戻って来た。

最近、サボってないし。

そう思いながら、練習を続けた。

彼女をチラチラと、視界に入れながら。





部活が終わり少しの時間を見つけて、彼女に話しかけた。

「熱心に見に来てますよね」

越野と付き合う前も見に来ていた。

「ひぃちゃんがいるからね〜」

……苛々する。

「付き合う前は?」

「え?あ〜、去年の春かな?友達がさぁ、カッコイイ1年生がいるって言うから、それに付き添ってただけ」

「ふぅん?」

興味ない。

「なにその興味ないみたいな返事、カッコイイ1年生って、仙道くんの事だよ」

オレ?

……。

「先輩には、オレはかっこよくなかったんだ」

何聞いてんだろ。

「え?」

「先輩は越野を見に来ていたんじゃないんですか?」

自滅するよいな事聞いてる。

ただ、少し期待していた。

でも、もう彼女は越野と付き合っている。

そうだ。

これで彼女が越野の名前を出したら諦めよう。

「……仙道くんはカッコイイよ。今でもそう思う」

彼女は恥ずかしそうに言った。

……、それ、本気でとらえてもいいんだろうか。

「あ、これ、ひぃちゃんにはナイショね?」

彼女は人差し指を口にあてて、秘密と言った。





あぁ、奪いたくなる。

無理矢理にでも奪い去って、オレのモノにしてしまいたい。

オレはそんな気持ちを抑えて、家路についた。
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