Novel


□芽生える気持ち
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変だ。


いつもなら私が視界に入ればすぐさま「アリス〜!!」って抱きついてくるか近寄って来るパターンなのに。
どうゆう行動をとればいいのか。

何だか居心地が悪い…。

私は所在がなく腕を擦った。





ただただ立ち尽くすエリオットの表情から原因を読み取ろうと試みてみた。


――結果、原因までは無理だった。

彼に心配をかけることをしでかした?
でも、何を?

特にそんな要因浮かんでこないんだけど。

ブラッドと会う時だって、失礼にならない程度の距離をあけて会ってるし(エリオットが焼きもち妬く為)。


「…仕事、もう終わったの?」

「…………ああ、終わった」


問うと間はあったものの口を開き答えてくれる。


「…なにか、仕事であったの?」

「……………別に、」


言うなり彼は紫の瞳を細めると急くように大股で私に向かってきた。
彼の長い足でならこの距離など三歩も必要なく詰められる。


「っ!!」


ぎゅうっと腰から強く引き寄せられた。
彼の広く暖かい胸に抱き締められる。

何か仕事関係で焦ってるのかもと思ったんだけど仕事じゃないってことは…。
要因って私?よね、やっぱり。

私が彼にそんな顔をさせてしまったんだ。

私も抱きしめ返してあげたいと思う。

だけどエリオットはかなり一方的に、私をぎゅうぎゅうともちろん腕ごと抱き締めているから無理で。

    



……。

0距離で目の前に映る彼の広い胸。

時計の音が私の耳へ何かを響き伝えようとしているように思えた。





しょうがない。
思いあたらないのなら直接聞くまで、ね。


「エリオット。どうし
「仕事が終わって…俺の部屋に戻れば、いつもあんたは俺の帰りをベッドの上で待っててくれるのに今日は…。今日は、部屋に帰ってもアリスの姿ねぇからっ、不安で…」


聞こうとした、私の言葉を遮って。
エリオットは心の内を曝けてくれる。

同時に抱き締められる腕にはより力がこめられてきて。

くっ…、苦しい。


「エリオット、ちょっ…くるしっ」


彼はあっと気づくとすぐに悪ぃと腕の力を抜いてくれた。

それでも腰を引き寄せている彼の大きな手は未だひしっと、離れことを拒むかのように力が込められている。
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