Novel
□やってきた役持ち達編
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【-気付いた時には-】
「 やぁ」
…??
どこからかふわりとふってきた聞き覚えのある声は、本の世界に浸っている私の頭にぼんやりと響いてきた。
、この声ってまさか??
読んでいる本のページから視線を離し、ぱっと緩んでいた身体を張って周りを見回す。
だが私の目に映るのはただただ手入れのゆき届いた緑の芝生が広がるだけ。
期待していた声の持ち主は見当たらなかった。
「ナイトメアの声が聞こえたと思ったんだけど…」
気のせいよね。
わかっているのに、
叶わない希望を持ってしまう。
どうしてもみんなの影をどこかで追ってしまう。
いつのまにか、
何を見ていても、していても、みんなを連想させている。
それじゃいけないと、こうして本を読んで何度目かの現実逃避を試みてみた。
結果はまたも失敗に終わったが。
「今度こそ、上手くいったと思ったのにな」
今回はナイトアの声に引き戻されてしまった。
はぁ 。
友達に『物思いにふけってるの?』と言われてしまう始末だ。
やばいよな、流石にこのままじゃ。
現を抜かし過ぎている。
周りの人に余計な心配をかけたくないから。
一人で居る時にだけ…って、思ってるけど。
気をはっていようが、無駄だといわんばかりに溢れていき。
いつの間にかふけってしまう毎日が続くばかりだ。
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