Treasure House

□で・え・と・しましょ♪〜夏のSTEP
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夏休み前の中庭には射る様な暑さと逆の爽やかな風がさらりと吹いていた。気持ちの良い日陰でさくら達は賑やかに弁当を広げていた。
お弁当のレパートリーや、クラスメートの話…などなど、中学生になってからも毎回ガールズトークの話題に事欠かない。

「ね、利佳ちゃん…これもひとりで作ったの?」

昔からのツインテールが前後に揺れる。

「そうよ、またレシピ書いてくるわ」
「ふふっ…やっぱり『食べさせてあげたいひと』がいると違いますわね」

いつもならほんのり頬を染めた利佳に「お料理上手だよね〜」とさくらのリアクションがあるのだが。予想外な静けさは、逆にさくらを目立たせてしまった。

「あっ…あれ?何か変だよ、さくらちゃん?」

隣に座った菜緒子が心配そうに顔を覗き込んだ。

「ほぇ? な、何?」

デザートのゼリーを掬ったスプーンを口から離して、やや気が抜けた返事をした。ここ数日、さくらは確かに急に辺りを見回したり、急に顔を赤らめたり…と忙しい。
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