et cetera

□もうすぐ
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「言われなくてもちゃんとやってるもん」
「ちゃんとやってたら、こんなことにならないだろ」
「だって、わからないものは、わからないんだもん」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!」
「いい、小狼くんになんか教えてもらわない」
「自分でできるなら勝手にしろ」

そんな喧嘩をして小狼くんが部屋からいなくなったのは5分ほど前。
広いリビングの中に一人。
机の上に広げられた教科書やテキスト、向かいの席にも同じようなものが広げられている

3日後に迫った高校受験本番。
その試験に向けていっしょに勉強をしていたのに、いつの間にかこんなことになってしまった。
自分が悪いのはわかってる、解くことのできない数学の問題。すぐ目の前の小狼くんを頼ってしまって教えてもらおうとするから

「そんなんじゃ自分のためにならない」

そんな一言が始まりだった。
一緒の高校に行きたくて、成績的にちょっとだけ不安の残る『星条高校』の受験を決めたのはもう半年も前、先生にも何度か本当に受験するのか問いただされ、すこしずつあがってきた成績に、あと数学さえ何とかなったらと言われたのは先月の話。

解きかけの数学の問題に目を落とすと涙が出そうになる。
−わかんないんだもん
基本さえ覚えれば後は応用。小狼くんも知世ちゃんも口をそろえて同じことを言う。
一生懸命やってるのになかなか前に進まない。
こんなことをしていたらきっと合格なんてできない、いっしょの高校なんて行けないかもしれない。
不安だけが頭の中を占めてきて、本当にどうしたらいいのかわからなくなってくる。
そんな気持ちのはけ口を小狼くん求めてしまった。
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