et cetera

□If 〜夏の思い出
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夏休みに入ってしばらくは楽しかった。海にちょっとした旅行に、たくさんの思いでもできた。
明日が終わってカレンダーをめくれば9月がやってくる。

「あああーーーーーーーーーー。宿題まだこんなにあった!!」

カバンの中にあった夏休みのしおりを読み返しその中の宿題欄に目を通すと、終わっているんは一つだけ。
あとの数個は真っ白のまんま。明日一日でどれだけ終わらせないといけないのだろう。
考えただけで今まで遊んでいたことを後悔しそうになる。

次の日は朝から大忙し。
お兄ちゃんやそのお友達の雪兎さんにまで手伝ってもらって宿題を終わらせようとがんばった。
昼過ぎには、算数ドリルが少しと読書感想文だけというところまで終わらせることができた
一息ついてお昼ご飯を食べていたときにかかってきた知世ちゃんからの電話
知世ちゃんも数学ドリルが終わっていないと言うので、一緒に宿題を図書館ですることにした。

「知世ちゃーん」

待ち合わせのペンギン公園に先に来ていた知世ちゃんのそばに駆け寄る。気がつけばその手にはビデオカメラ

「今日も壮絶かわいいですわ。」
「知世ちゃん・・。」

知世ちゃんはいつもビデオカメラを持ち歩いていて、お写真を撮ってくれる。夏休みの間も作ったお洋服を持ってきてくれては、お写真やビデオを撮ってくれた。

「さくらちゃんは他の宿題終わられましたの?」
「うん、お兄ちゃんと雪兎さんに手伝ってもらっちゃった」
「今日中には終われそうですね」
「うん、今年は何とか」

着いた図書館は人でいっぱいだった。いつもなら何席か開いているはずの自習室もいっぱいになっていた。
一つ一つの部屋をのぞいていると、ひとつだけ開いている場所があった。

「知世ちゃん。空いてたよ」

少し後ろを歩く知世ちゃんに声をかけた後、もう一度部屋のほうを向くと李君が立っていた。

「李君もお部屋探してた?」
「ああ、でもいい。別のところでする」

方脇に本を持ってすたすたとその場を離れる後姿。転校してからも一人でいることの多い彼だが、寂しくはないのだろうかと
つい思ってしまう。

「さくらちゃん、李君がいらっしゃいましたの?」
「うん、でもいっちゃった。」
「まあ」
「いっしょにお勉強しても良かったのに」
「さくらちゃんは李くんが怖くはありませんの?」

無口で硬い表情の彼は最近女の子から怖がられていたりする。そのことを知世は言っているのだろう。

「うん。怖くないよ。」

怖いというより優しいと思う。授業中困っていると知世と同じように助けてくれた。
人が嫌がるような仕事も文句を言わないでやっている。
そんな姿はかえって「すごいな」とか思ってしまうぐらいだ。

「さあ、宿題やってしまいましょう。」

その声に促されて、やっと見つけた席に座り、あと少しとなった宿題を始めた
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